第444回
■I.I..さんからのQ(質問):そばについて

初めてメールさせていただきます。

仕事柄、中国、台湾、韓国に行く機会があるのですが、
そば料理は見かけません。
たぶん各国の地方にはそばを材料にした料理があるのでしょうが、
おいしく食べられるよう
創意工夫が十分なされていないのではと思います。
日本でこれだけそばがはやっているのですから、
日本の近隣諸国の人たちも食べつければ
おいしいと言ってくれる人も今後どんどん増えてくるのでは?
と思います。
中国はこれから高成長が本格的に始まるわけですから、
まだヘルシーという考えで食事を選ぶ人は少ないと思います。
日本は、つい15年くらい前から、
そばが静かなブームになってきていると思います。
それまではそばがおいしいところは、土地がやせているため、
そばは貧乏で貧しい生活の象徴でした。
いまは高級食材の末端に並んでいるような気がします。
将来は、中国でもそばははやるのではと思いますが
(今は無理でしょう)、邱先生はどうお考えでしょうか?


■QさんからのA(答え)

日本そばについては
中央公論の「口奢りて久し」の連載の中でも触れましたけども、
日本人の味覚と周辺の国の人たちの味覚とは
必ずしも一致しません。
ウチの家内は、はじめて東京へ来たときに
私が軽井沢のそば屋さんへ連れて行きましたら、
ざるそばを食べながら
「靴の底をかんでいるようですね」と言ったことがございます。

その家内もいまではおいしいそば屋に行くと言ったら、
「私も行く」といって一緒に行きますから、
味覚そのものも、どこに住んでいるかによって変わると思います。

ただ、日本のそばがそのまま、
よその国へ行って通用するかといったら、
なかなか難しいですね。
実際には日本人が食べているそばは
輸入品が82%も占めておりまして、
よその国の人はそばという形では食べていないで
お饅頭だとか、パンみたいな形にして食べています。
そばというものは、もともとは貧乏人の食べるもので
金持ちが金に飽かせて食べるものではないんです。
とりわけよその国の金持ちになった連中に食べさせるのには
相当時間がかかるんじゃないかと思います。


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