第305回
■HAさんからのQ(質問):米国公認会計士の資格について

邱 永漢様

いつも読ませて頂きありがとうございます。

ところで、質問があります。
多国籍にまたがる仕事がよいということを
よく述べられていますが、国際会計基準にもっとも近いと言われる
米国公認会計士の資格について、
どのようなお考えをもっていらっしゃいますか?
以前、「日本の公認会計士も税理士も
経済の発展が止まってしまった日本では
先細りの商売のひとつです。」と書かれていましたので、
気になっております。
是非とも、お返事を頂ければありがたいです。
よろしくお願い致します。


■QさんからのA(答え)

私が、二カ国以上にまたがって会計の処理ができるならば、
仕事はいくらでもありますよという話をしたことがございます。
当然アメリカの国際的に通用する会計と日本の会計の両方を覚えれば、
アメリカと日本の両方に通用できます。

私はアメリカの世界的な会計をやっている会社の社長さんと
NYであったことがあります。
日本のアメリカに進出している会社の大半が、
そこの会社にアメリカの会計を頼んでいるんです。
したがって、そこの会社にはちゃんと日本人のスタッフがいて、
アメリカに進出している
日本の企業のほとんどの仕事を受け持っております。
アメリカの会計の仕事もできる人は、
メシのタネに困らないということです。

しかし、これからの日本の企業は
アメリカに進出することは少なくなって、
中国ということになります。
さらにはインドとかロシアの時代も来ると思うんです。
例えば、中国の会計法をマスターしておれば
仕事はいくらでもあります。
ですから、これから勉強されるのだったら、
中国にまたがった会計の勉強をやるのがいいんじゃないかと思います。
しかし中国の上場会社も、
これから世界的に通用する会計法に移ることは間違いありませんので、
日本人としては、日本の会計だけではなくて、
世界的に通用する会計と中国の会計を
勉強しなければいけないということになるんじゃないかと思います。


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