第159回 邱 永漢 先生 もう17年ほど前になりますが、先生にはSEC(住友Executive Club)のメンバーとしてよくお話を伺いました。 数日前、NHKのクローズアップ現代で中国からのM&Aの案件として取り上げられておりました。 この友人は、一時期、外食の分野ではかなり有名な男で、今は60をすぎておりますが、和風のラーメンと寿司の組み合わせで100億ほどのフランチャイズ組織を築いたことがあります。 今回ご相談させえていただきたいのは、この友人が18年前に関東のデパートに持ち込んだ“広島風お好み焼き”(当時は一番乗りで、ご存知のように最近はかなりポピュラーになってきました) ひいき目かも知れませんが、かなりうまいと思いますし、何より中国人など外国人にも大変好評です。 この友人は良いものを作るのですが、商売の方はあまりうまくはありません。 中国での展開に全面的に協力すると言うことで助けて下さるような方をご紹介いただけないでしょうか? お許しがいただけましたら、邱先生の事務所に試食を何人前かお届けさせていただけないでしょうか?冷えたものでも自信があります。 ぜひご試食をいただきたいのです。 20年来の友人ですが、私はこの友人の才能(単においしい食べ物を作るだけでなく、若い女性などの共感を得るような打ち出し方のセンスが良いのです)を惜しみます。 よろしくお願いいたします。 |
■QさんからのA(答え) お友達がお好み焼き屋をやっておられて、そのお手伝いをしたいというお話のようですけれど、じつはかなりの年になるまでに色々な仕事をやって、最終的な結果が赤字で梃入れをしなきゃならないということですと、その仕事はダメだとお考えになられた方がよろしいと思います。 中国の人がお好み焼き屋を見に来たのを私もテレビで見たことがありますが、中国人がお好み焼き屋を中国に持っていっても商売になるとはお考えにならない方がいいと思います。 中国の食べ物のレベルの方がずっと上なんです。ただ日本の食べ物の中で、これなら世界的なスケールでやっていけるというものがいくつかあると私も思っていますが、お好み焼きはその中には入りません。日本でも大阪などでは商売になっているようですが、それはラーメンが国際的に拡がりつつあるのとはわけが違うと思います。 日本人は自動車などの、よその国が作ったものを改良して世界中に売り込むといった改良の才はあると思います。そういうやり方で上手くいくモノはまだいくつもあると思います。 でもそれは60代の人が考えることではなくて、20代、30代の人の考えることでないとダメなんです。残念ながらお友達のために一肌脱ぎたいという気はわかりますが、なかなか上手くいかないんじゃないでしょうか。 |
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