第145回 邱 永漢 先生 毎日楽しく拝見させていただいています。 人民元の切り上げを求める声が広がっていますが、果たして近い将来そういった事はありえるのでしょうか? 切り上げは中国にとって対外債務等を考えると少しはメリットはあるのかもしれませんが、昨今の中国の貿易黒字の金額や外貨準備高を考えるとデメリットの方が多いのではないかと考えます。 また、かつてアメリカが日本に円高を迫った時のような力関係にある国が中国にあるとは思えませんので、切り上げは行わないのではないかと私は考えております。 近い将来中国に留学しその後商売をしたいと考えている私には人民元の切り上げは大問題です。いま日本円で貯蓄している資産の価値が人民元ベースで激減してしまうとしたら計画が大幅に狂ってしまいます。 人民元切り上げ対策を考えましたが、不動産投資くらいしか可能性のあるものは考え付きませんでしたので、上海でマンション購入を考えていますがその他に何かよい対策がありますでしょうか? ぜひ先生のご意見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。 |
■QさんからのA(答え) 人民元はいまのところドルにリンクしていますので、ユーロでも、日本円でも、ほかの通貨がドルに対して高値になると、輸出が有利になるので、あれこれ批判が絶えません。 ほんの2,3年前は円安で人民元が不利の立場に置かれたので、人民元の切り下げは秒読みの段階だと書かれました。しかし、その時も人民元の切り下げはありませんでした。 恐らく今回もそう簡単に人民元の切り上げに踏み切ることはないでしょう。なぜなら、海外からの投資がふえ続けており、中国政府としては通貨を安定して状態に置いておくことが投資した人たちを安心させることになると考えているからです。 不動産投資でも株式投資でも、為替相場の影響を受けますが、それ以上に経済成長の影響を受けます。切り上げになれば、外貨になおした場合トクをしますが、人民元でちゃんとした利益をあげられるかどうかがもっと大切です。 あまり為替相場に振りまわされないようにして下さい。 |
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