■ QさんからのA(答え)
福井雅樹様へ
お答えします。
ウルムチからカジュガルにかけては
雨量が少くて昼と夜の温度差の激しいところですから
ブドウとかハーミックワ(メロンの一種)の名産地になっています。
ブドウは抱えきれないほど大きな籠一杯でたったの20元(300円)
ハーミックワは1個で2元か3元です。
あんまり安すぎて、レストランでは商売にならないので、
食後のデザートにも出してくれません。
仕方がないので市場に行って現物を買い、
レストランに入って料理を注文する時に
「すまないけれど、食後に食べるから、
冷蔵庫に入れて冷やしておいて下さい。」
と頼んだことが何回もありました。
料理の時に現地産のブドウ酒を注文しましたが、
値段の高い割りにきわめて粗悪で
プリミティブな味のものしかありませんでした。
「ここでワインをつくれば将来、産業になるぞ」
と思いましたし、
同行したワイン好きの友人たちもすぐ賛成してくれましたが、
「ではだれがここに残りますか。残る人は手をあげて下さい」
と言った途端に終わりになってしまいました。
のちに「永田農法」で有名な永田照喜治さんと
新疆でワインをつくる話になり、
「あすこには第一級のワインをつくれるブドウの苗木がありません。
ボルドーから苗木を持っていけばいいのですが、
ワインができるブドウができるまでに15年かかります。
私は75才でQ先生は78才ですから、二人とも間に合いませんね」
といってお笑いになったことがあります。
中国は今後、経済が発展するにつれて
ワインブームになることは間違いありません。
いま現にそのきざしが見えています。
いちばん有名なのは山東省の烟台あたりにとれるワインですが、
雲南省でも地元でワインをつくっています。
でもいいブドウの育つ条件はきっと新疆の方に軍配があがるでしょうね。
いまそれを実現するためには30代で農業に興味のある人が
ウルムチに出かけて行って先ずトマトと西瓜を植えて、
糖度の高い良質のジュースや西瓜糖をつくって
日本へ売る商売からはじめることです。
トマトも西瓜も一年で製品になりますから、
それで生活を支えながら、フランスからブドウの苗木を輸入して、
45才になって第1回の収穫に入る長期計画をたてることです。
私ではもう間に合いませんが、ワインの歴史から見たら、
15年や20年なんてホンの短い一瞬でしょう。
もしおやりになるだけの覚悟と辛抱強さがあったら、
きっとウイグルの産業地図を一変させることができますよ。
私も永田さんも協力は惜しみません。
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