死ぬまで現役

老人を”初体験”する為の心構え




第56回
テレビは視聴率がすべて

ボケを防ぐ方法として、
「テレビを見るな、ベスト・セラーズを読むな」
という文章を書いたことがある。
「テレビを見るな」というのは、
如何に多くの人々が意味もなく、
ただ時間のすぎるのを待つためにテレビを見ているか、
ということと関係がある。

このことを逆にいえば、ただの時間潰しのためなら、
テレビを見るのが一番だということでもある。
そういう目的のためなら、
テレビは非常によくできているということである。

もちろん、テレビは娯楽番組だけで構成されているわけではない。
ニュース番組もあれば、教養番組もある。
ニュース解説もあれば、時事討論会もある。
しかし、そういうものは、
そういうものをやることがきめられているか、
そういうものがないとカッコがつかないために
映されているものであって、
なるべく短い時間で片づけられている。
そうした時間帯は視聴率も低いが、スポンサー料も安い。
コマーシャルのないNHKにしても、
そういう番組と娯楽番組とではお金のかけ方がまるで違うし、
視聴率も問題にならない。

基本的にテレビはお客に見せるためにつくられるものであって、
視聴率が高くなればその番組は成功をおさめたことになる。
どういう人が見ているか、その人たちの職業はどうなのか、
どのくらい税金を納めている人たちなのか、
教養の程度はどうなのか、
といったことはあまり問題にならない。
とにかく高い視聴率を集めた局が勝ちで、
そういう番組は高く売れるし、
そういう番組を企画した人はテレビ局で
名プロデューサーとして大手をふって歩ける。
したがって番組の質がどうだといったことは
どうでもよいことであって、
何が何でも視聴率をあげれば、それでよいのである。

となると、人をブラウン管にひきつけること、
その人がスイッチを切ったり
他のチャンネルにまわしてしまわないように、
できるだけ長い時間ひきとめておくにはどうしたらいいかが、
番組製作者の最大の狙いとなる。
そのためには俗悪だろうと、非道徳と非難されようと、
あるいは嫉妬心を誘ったり、射倖心を煽るようなことであっても、
良心のうずきを覚えるようでは、
テレビ局のプロデューサーや経営者はつとまらないのである。

こういう動機で番組がつくられている以上、
お客にスイッチを切られないための
あらゆる手立てが試みられる。
人気のタレントが誕生すれば、
そのキャラクターで視聴率が上がっている間、
その人をずっと登用するし、たまたまフライデーされたり、
フォーカスされて、スキャンダラスなニュースが流されても、
スターとしての生命がある限り、
耳を塞いですぐまたブラウン管に復帰させる。

その代わりどうやっても視聴率が上がらないことがわかると、
まったく反対のことを平気でやる。
フォーカスされた途端に、待ってましたとばかりに下りてもらう。

スターやタレントも商品の一種だから、
売れなくなった商品は商品ケースからはずされるのは
むしろ当然のことであろう。





←前回記事へ

2015年3月30日(月)

次回記事へ→
中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」

ホーム
最新記事へ