|  第537回鱧と松茸によく出会うこのごろ
 ここのところ、鱧と松茸の組み合わせに連続してあっている。まずは、京都北山の「乃し」の松花堂弁当ででた、
 松茸の土瓶蒸し。
 これに鱧が入っていた。
 普通の松茸だけの土瓶蒸しに比べて、
 鱧の濃厚な旨みが加わって、なかなかの逸品だった。
 そして、その翌日には、和でない店で鱧と松茸に遭遇した。新大久保の料理屋で、たまにこのコラムで取り上げる店。
 しかし、ここは、インターネットのコラムでも、
 店名を明かすことはご法度で、
 店主の本田さんは常に検索をしていて、
 掲載されたサイトがあると抗議して
 お店の情報を消してもらっている。
 おかげで、変な客がいないのがこの店の特徴の一つ。
 こちらでいただいた鱧と松茸では、
 鱧には蜂蜜ソースがかかっていた。
 この甘さがまたなんともいえない。
 そして、その次に会ったのが、小滝橋「岸由」。学会のプロジェクトチームの懇親会を開催した際に
 提供されたのだが、それは王道の鱧と松茸の椀。
 こちらの店は出汁の取り方も特別丁寧にしているのが分かる。
 鱧の旨みが口のなかにあふれて、とても満足。
 鱧と松茸のマリアッジュは、
 誰が考えたのだか知らないが、
 この季節のピンポイント食材の組み合わせで、
 夏が去り、秋が来た予感を高めてくれる。
 それにして、美味しい鱧・松茸の組み合わせは、
 もちろん、両方の食材の品質が高いこと。
 そして、その食材のよさを活かす調理人の腕。
 そんな条件に合致する料理屋で
 鱧と松茸の組み合わせをいただくのは、この上ない幸せだ。
 鱧は骨切に非常に手間がかかる。皮の手前で包丁を止めることが必要であるが、
 手前過ぎると骨が切れていない。
 皮の寸前で止める技量がないと、
 鱧・松茸の組み合わせ料理は美味しくない。
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