“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第403回
蕎麦の宴はまだまだ続く

蕎麦切りに一同酔いしれたあと、鴨鍋が提供された。
蕎亭大黒屋では、夜のメニューのは鴨鍋が中心となっている。
鴨の出汁を鍋に入れ、合鴨と野菜を煮る。
とてもいい出汁で、鴨の旨みがよく引き出され、
白菜、人参、葱、エノキ茸などの野菜にも
鴨の旨みが滲みついている。
秋鹿の山廃とよく合う。
小泉先生はさすがに発酵学の権威、
秋鹿の燗を飲んだ直後に、
これは山廃造りですねと見破っていた。

その後、蕎麦寿司がでる。
これは、蕎麦切りを酢で〆て巻物にしたもの。
酢が細い麺の表面にほどよく滲みこんでいて、
噛むとたくさんの数の麺がほぐれて口のなかいっぱいになり、
爽快感が素晴らしい。
奥播磨の熟成ブランドである、「白影泉」雄町山廃とよく合う。
鴨鍋で上品な脂と旨みを楽しみながら、
途中で蕎麦寿司の爽快さ、白影泉の複雑な味わいを加え、
三種類の異なっている味が、渾然一体となった旨みにかわる。

その後の酒肴は蕎麦掻。
こちらは、細かい粉で作った
ネッチリ、モチモチとした食感のものがまず提供され、
しばらくしてから、荒挽き粉の、風味豊かな蕎麦掻が出てくる。
この二段攻撃にたじたじとなっているところに、
さらに、荒挽き蕎麦掻を揚げたものが加わる。

いずれも、蕎麦そのものの旨みが表面にでている。
これには、十旭日の平成7醸造年の古酒を合わせる。
古酒のナッツのような心地よい香りと、
蕎麦掻の風味がまたまた渾然一体となる。
これで終わりかと思っていたら、
蕎麦めしトロロが提供される。
これは、蕎麦の丸抜きを炊いて、
その上にトロロを掛けた雑炊のようなもの。
出汁がよく利いている。
丸抜きの粘りの少ない食感と、
トロロの粘りの組み合わせが絶妙。

さらに、本当に最後に
手打ちウドンをさきほどの鴨鍋に入れていただく。
このウドンも小麦のほどよい甘みを感じさせて、
最後の満足感につながる。
自家栽培蕎麦を中心とした、
蕎麦料理の宴は、食の専門家たちにとても評判がよかった。
皆さんに、蕎麦の奥深さを知っていただくことができた。
またすぐにでも、幹事役をまわされそうな雰囲気であった。


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2006年3月15日(水)

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