“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第391回
鴨はしめ方で味が違う

フレンチ、イタリアン、和食、中華の料理分野で
鴨は格好の食材としてよく使われている。
鴨の種類も色々あって、料理によって使い分けられている。
さらに、面白いのは、
料理によってしめ方が違うものを使い分けられている点だ。
フレンチのクラシックで重い料理には、
窒息させてしめた鴨を使う。
これに対して、イタリアンや軽いフレンチには、
頚動脈を切って血抜きをしてしめた鴨を使う。

魚もしめ方で随分味が違う。
血を完全に抜けば生臭さが減少して、上品な味わいになるが、
マグロなどは血の鉄分が味わいのコクになっているので、
血を抜きすぎないことも重要だ。

鴨は血抜きする場合は、頚動脈を切ってから、
鴨が暴れるように仕向けて、完全に血を抜く配慮をする。
ただ頚動脈を切っただけでは血がほとんど抜けないので、
ドキドキさせて心臓のポンプがよく働くようにするわけだ。
窒息死させるときには、血は溜まったままだが、
その血が一箇所に片寄っていなくて、
全身の毛細血管まで満遍なく分布しているのがいいらしい。

西崎ファームの西崎社長によると、
窒息死させてその後の処理がうまくいったときには、
鴨の肌が白くなるという。
普通の窒息死の鴨は皮の部分が血の色で赤くなっている。
これが、羽をむしるタイミングで
皮の部分が白くなっている状態が可能で、
その鴨が一番旨いというのだ。

肌の白い窒息鴨を
以前フランスの三ツ星レストランに持っていったら、
信じられないと驚かれたという。
その窒息鴨を何度か西崎社長から送ってもらって、
食べた経験があるが、
そのコクの豊かさがなんともいえない。
そのときは、肌の色までは気にせず食べていたが、
白かったような気もする。


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2006年2月27日(月)

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