“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第367回
茶漬けの裏技

前回のコラムで銀座『こびき』で
最後にミル貝の茶漬けを頼んだと書いたが、
実は親方にちょっとした仕事をしてもらった。
それは、ミル貝を炙ってから、
醤油ベースのタレにつけてもらうことだ。

このミル貝の茶漬けは、お茶ではなく、
昆布と鰹の出汁がかけられていたが、
ミル貝を炙ることで香ばしくなり、とても美味しくいただけた。
また、炙ることによって、
ミル貝の旨みが出汁のほうに溶け出さないというメリットもある。

茶をかける茶漬けでも、具を炙ってから茶をかけると、
なんとも言えない香ばしさと炙った旨さが楽しめる。
北王子魯山人は
茶漬けの茶は、できるだけ熱いお湯を
茶漉しに入れたお茶の葉を通して、
ご飯の上に乗せた具にかけるのが旨い茶漬けの作り方だ
と書いているが、
具を最初から炙っておくと、
茶の熱さを気にせずに旨い茶漬けになる。

具を炙ってから煮るという手法は鍋でも使える。
よく、鴨南蛮ソバでは、鴨をちょっと焼いて、
また、葱も炙ってから具にする。
こうすることで、汁が断然香ばしくなる。
鴨の脂がいい感じで汁と合わさってくれる。

熱いものを汁のなかにジュっといれる行為は
汁をまろやかな味わいにする効果もあるようだ。
江戸前の蕎麦屋では本返しを作るときに、
最後に熱く焼けた鉄棒を鍋のなかに入れるところもある。

焼くという調理法は、
焼き物以外の料理の隠し技として、いろいろと使えて、
思わぬ美味しさをもたらしてくれる。

また、少し違う料理だが、
焼き魚の旨い食べ方として、
焼きあがった魚の熱々の状態のところに
酒を少量ほどジュっとかける手法がある。
これは、魚の生臭みを瞬間消してしまう効果があり、
酒の香ばしさも合わさって、いい酒肴になる。


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2006年1月24日(火)

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