第337回
ホテル西洋銀座でカリフォルニアワインの会 〜その3
次に、カベルネソーヴィニオンの
熟成赤ワイン1990年が提供された。
料理が出る前に口に含んで味見をする。
会が始まったときからデキャンタージュされていたが、
まだまだ固い。
これに合わす料理は
「日向赤鶏のスパイシーグリルとフライドオニオン」。
炭火焼されており、皮の内側の脂が香ばしい。
熟成赤ワインとはよく合っていた。
今回は、料理にワインを合わすのではなく、
ワインに料理を合わせたという点が面白い。
ヴァンシュールヴァンのワイン会でも、そのように料理がでてくる。
1990年は偉大な収穫の年だったようだ。
雨が少なく、土壌の栄養分が全て葡萄に吸収されて
ワインは美味しくなっている。
しかも、1976年の英国のワイン商が企画した
フランス対カリフォルニアワイン対決で優勝した
スタグスリープのキャスク23に使用していた畑を買い取って、
その葡萄を使用しているという。
期待して飲んでみたが、第一印象はとにかく固い。
素直な味わいでいいワインであることは間違いないが、
まだ開いていないという感じだった。
スラグスリープ・キャスク23は何度か飲んでいるが、
そこまでの深みは感じられない。
ゆっくりと飲んで、味の変化も楽しむことにした。
最後の料理は
「エゾ鹿のロースト、りんごピューレとねずの実の香り」。
エゾ鹿は今年も数が多く、
民家の近くまで降りてきて農作物を食べるので、
北海道の農家が困っているらしい。
それで、大量に捕獲されているようだ。
しかし、最近のエゾ鹿は何か上品で食べやすくなってきていて、
昔ながらの獣らしさが少なくなっているような気がする。
先日「レ・ブランドウ」で食べた長野の子鹿のほうが
肉そのものの旨みははるかによかった。
このエゾ鹿はオレンジ風味で焼かれていて、
ベーコン、キャベツが敷いてある皿に盛られている。
これは、2002年の
シルヴァーラード・ソロ・カベルネソーヴィニオンに合わす。
この赤ワインのソロはまだ日本では発売されておらず、
世界に先駆けてこの場で紹介とのことだった。
シルヴァーラードの25周年記念として造られ、
オーナーのマダムであるダイアン・ミラーさんが
ピアノを弾くことからソロと名づけたという。
その名のとおり、単一畑の葡萄を使っている。
2003年とまだ若かったが、穏やかな味わいで、エゾ鹿によくあった。
今回、ワインに料理を合わせる試みはなかなか面白く、
巧みに合わされていた。
あわせ方は食材そのものよりも、ソースや下ごしらえなどが主体。
さすがに広田シェフ。
しかし、やや小手先の合わせ方のように感じられた。
食材がさらに力強くワインに合っていれば、
満足度はさらに増したことだろう。
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