“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第338回
若者に旨いものを食べさせるのはもったいないか?

よく、学生、子供などは分相応のものを食べさせておけばよい、
美味しいものは贅沢でもったいない、といった話を聞く。
私の研究室では全く逆に、
美味しい料理、美味しい酒やワインを学生たちに教えている。
都内の美味しい居酒屋はもちろん、
国内出張、海外出張などの折には、
その地の特徴のある食材や調理を楽しめる料理屋に
連れていったりしている。

以前も書いたように、
子供のころから自然の美味しい食材と本物の調味料を使った、
安全で旨い料理だけを食べさせている家庭はとても少ない。
小学生のころには
添加物のいっぱい入ったスナック菓子をおやつに食べ、
中学、高校、大学と進学して、
コンビニ弁当、ファーストフード、
ファミリーレストランでお腹を満たす。
自然にインパクトの強い料理を好むようになり、
自然で美味しい家庭料理からは遠のいてくる。
彼らが結婚をして家庭を持てば、そのまた子供が同じことになる。
そして、日本の伝統的食文化は崩壊の道をたどりかねない。

それだから、子供のころからは無理としても、
できるだけ若い時期に自然で美味しい食べ物、
本物の酒を知っておくことは重要だ。
私の研究室の学生は、
美味しい日本酒、美味しい料理を理解していて、
他の学生仲間と普通の居酒屋に行くのが耐えられないという。
私の教えている大学では、
飲み代は3000円くらいから、
頑張ってもせいぜい4000円くらいまでしか出せない
という感覚の学生がほとんどだ。
その値段では、なかなか本物の酒を置いていて、
自然の美味しい食材を使っている居酒屋は無理だ。
ところが、私の研究室の学生は、回数を減らしてでも、
客単価が8000円くらいまでの
美味しい居酒屋、料理屋に行きたいという。

私の研究室に3年生の仮配属が決まるのは1月ころだが、
そのときに、研究室のオリエンテーションの終わったあとで
歓迎の宴会を大学行うことにしている。
本物の酒と美味しい食材を使った料理を私自身が作って、
新人にご馳走するのだ。
そして、彼らに卒論研究テーマを与えて1年経った12月に
中間審査が開催されるが、
その直後に私の自宅に招いてご苦労様会を行うことにしている。
これは、もちろん大学院生の彼らの先輩たちも呼ぶので、
大人数になる。
そこで、美味しい食材を日本全国の産地から取り寄せて、
ご馳走する。

このように、本物の料理、本物の酒を試みれば、
若者たちは理解し、
それにはまって偽者の酒、料理を食べたくはなくなる。
日本の伝統料理と酒を子孫に伝えるためには、
若者に本物の美味しい料理を食べてもらうことが必要だ。

次回は、今年の12月初旬に開催した、自宅での宴会を紹介する。


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2005年12月14日(水)

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