|  第261回骨酒を鮎とカジカで
 渓流宴会もたけなわになってきて、骨酒をつくることになった。岩魚は取れなかったが、天然鮎とカジカがある。
 まずは、炭焼きして香ばしさを出す。
 そして、60℃以上の超熱燗で日本酒を注ぐ。
 日本酒は贅沢に秋鹿「嘉村壱号田」を用いた。
 今回は力強い酒と魚のコクとの相性を見たかったからだ。
 これが、大正解だった。
 まずは、鮎でやってみる。上品な香りが漂い、酒の味わいが深くなっている。
 天然鮎の炭焼きを合わすと、やはりいい。
 次がカジカの骨酒。
 これが、絶品だった。
 さきほどの鮎が物足りなく思えてしまうほど、コクがある。
 カジカの小さい魚体が頼もしく思える。
 嘉村壱号田の強さがさらに引き出されていて、
 一同感動の瞬間だった。
 ところが、ところが、鮎も負けてはいなかった。さきほどのは、焼き方が甘かったのではないか、
 と誰かの疑問がもとで、
 もう一度チャレンジしてみることになった。
 今回はよく焼いて、香ばしさをさらに出す。
 これがまた大正解。
 カジカとは違った、旨みのある骨酒になった。
 カジカはどっしりと濃いコクが芯となっている旨みだが、
 鮎は上品な香ばしさのなかに、深みのある味わいが潜んでいる。
 カジカの骨酒が素朴な田舎娘の魅力とすると、
 鮎の骨酒は薄化粧した舞妓さんのよう。
 湧き水をチェイサーにして飲む骨酒は本当に旨かった。
 そして、酒肴は鮑の肝ソースをジャガイモにかけたものなど。また、西崎ファームのバルバリー鴨を焼いたり、
 合鴨の燻製を炙ったりして、合わせる。
 鴨は今回は蕎麦屋の流儀で、
 スライスしたものを1枚1枚村上さんが焼いてくれる。
 一同すっかりお腹はいっぱいになり、また、十分いい気分になって夜がふけるのを楽しんでいた。
 そうしているうちに、ぐずぐずしていた天気も回復してきて、
 寝るころには満天の星空になっていた。
 |