第205回
酒菜「月」
6月に発刊となる日本酒の単行本には、
燗の旨い居酒屋、料理屋、蕎麦屋を100軒以上掲載予定だ。
そのかけこみ取材が結構忙しかった。
ちょうど、新しく年度が始まって、
産学連携、官学連携の報告書の提出時期と重なったので、
どうなることかと思ったが、どうにか山は越すことができた。
最後のほうに取材したのが、横浜駅近くの酒菜「月」。
地酒の品揃えがなかなか豊富で、
それに合う割烹料理が充実している。
店の入り口をあけるとすぐにカウンターがあって、
小さい店のように見えるが、
その奥の框をあがると座敷が数部屋ある。
地酒の種類は相当多く、どれでも燗をつけてくれる。
先日、取材で訪問したときには、
たまたま、宗玄を置いてあったので、それを中心に楽しめた。
料理はコースが3000円くらいからあって、充実している。
横浜駅から繁華街を抜け出たところにあるので、
隠れ家のように利用できるのも嬉しい。
「月」のオーナーが近くに最近出した店が「庵」で、
こちらがまた魅力的だ。
こちらは、オーナーが中を案内してくれただけだが、
すぐにでも客として訪問したくなった。
玄関から左右の二部屋にわかれた部屋はとても落ち着いていて、
その間に人工的なせせらぎが作ってある。
こう書くと、最近のデザイナーズレストランの
凝った奇異なインテリアを想像するかも知れないが、
これが落ち着いた雰囲気を醸している。
この水が二部屋の客室の周りを循環していて、
せせらぎの音がBGMとなっている。
「月」よりは、客単価が高いようだが、
静かな空間で美味しい日本酒と料理を楽しめるようなので、
色々と使い勝手もよさそうだ。
近々、刊行する日本酒の本の取材で、
また、随分色々な居酒屋、料理屋に出会い、店主と親しくなった。
人生の楽しみがまた増えた。
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