|  第178回3回目の花見で熟成日本酒
 先日は以前に勤めていた宇都宮市で、昔の職場仲間が花見に呼んでくれて、
 東京から1週間遅れの時季の花見を楽しめた。
 そのうち、桜の開花に合わせて、
 九州から北海道まで移動しながら花見をしてみたい
 という願望はあるのだが、
 大学に勤めている限り成就されそうもない。
 で、宇都宮の花見には、大学で常温で寝かしていた悦凱陣の
 H13BY(醸造年度)の山廃純米無濾過生原酒を持っていった。
 この悦凱陣は骨太の味の多い酒として知られているが、
 4年間寝かせた甲斐があって、
 日本酒とは思えないほど味が凝縮していた。
 原料米は、雄町。
 地元で蔵元社長の丸尾さんの目の届くところで栽培されている。
 雄町は癖があって、旨く造るのが結構難しいが、ツボに嵌った造りのときの味わいの鋭さは素晴しいものがある。
 一方、山田錦はいかにも優等生であって、
 誰がつくってもそこそこの旨い酒になり、欠点がない。
 それ故、いい腕の杜氏さんでも
 雄町より山田錦を好む人が多い。
 この雄町で作った山廃は、新酒のときには荒々しい酸に支えられた旨みがあったが、
 バランスがややかけていた。
 それが、4年の熟成を経て、
 見事に酸と旨みが一体となっていた。
 燗をしたところ、最高の旨みが引き出されて、
 周囲の桜がとても綺麗に見れる。
 この悦凱陣の山廃純米無濾過生原酒は
 毎年ケースで、すなわち、1升瓶で6本づつ仕入れていたので、
 垂直テイスティングも可能だ。
 花見に来た昔の職場の仲間も、とても旨いと言って喜んでいた。
 このときに、酒飲み仲間が持ってきたのは、開運の無濾過純米生原酒の2年常温熟成したもの。
 こちらも、熱い夏を2度も越えているにもかかわらず、
 まったく劣化しておらず、
 ほどよい熟成香が旨みに乗っていて、
 極めて快適な花見酒になった。
 さらに、かなり昔同じ職場だった仲間が焼酎数種を持ってきていて、
 数日前に水で割っておいたという。
 焼酎はどちらかというと苦手だが、こうしておくと結構飲める。
 あらためて、日本酒の常温熟成の効果を楽しんだ。他の熟成中の日本酒もいつ飲むのか、楽しみである。
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