|  第161回目からウロコの鱗の旨さ
 魚の鱗(ウロコ)の美味しさを堪能した。鱗と言えば、魚を捌くときに取るのが面倒であり、
 邪魔なものだ。
 鯛などのしっかりした鱗は専用のウロコトリでこすり、
 平目などは包丁で丁寧に取り除く。
 これが一度では綺麗にとれずに、
 何度も繰り返していると、結構時間がかかる。
 また、ウロコが綺麗にとれても、
 俎板のまわりに結構とびちるので、あとで掃除が大変だ。
 このように、ウロコは百害あって一利なし、と思いがちだが、食べるとやみつきになる旨さだった。
 以前紹介した神楽坂の
 フレンチとイタリアンの折衷のような料理屋を訪れたときだ。
 そのときは、歯痛と花粉症と風邪の三重奏で、体調は最悪。
 そんな状態で食べた鱗だ。
 歯が痛いので、できるだけさっぱりとした味で硬くないものとして、
 アマダイのポワレを注文した。
 これが、切り身で提供されるが、
 皮がぱりっとしていて、通常よりも香ばしい。
 鱗をつけたまま焼いて、皮目をぱりっとさせているのだ。
 鱗のついた皮は甘みも感じさせ、
 香ばしく、かつ、ぱりっとした食感がとてもいい。
 しかも、身のほうまで火を通しすぎていることもなく、
 身はジューシーな旨みが味わえる。
 この店のシェフはリストランテ・ヒロで修行をしたので、あそこの定番料理の甘鯛の鱗焼きのアレンジであることは、
 容易に想像できるが、とにかく旨い。
 魚は皮の部分に旨みが凝縮している。
 その旨みに、鱗を焼いた香ばしさが乗っている。
 これが、甘鯛なので鱗の硬さが適当なのだろう。
 穀物も皮に近いほうが甘みは多い。蕎麦も米も中心部は澱粉質のさらっとした成分で、
 味はあまりない。
 周囲、それも皮の付近。
 蕎麦で言えば甘皮が一番香りと旨みがでている。
 |