第64回
幻の銘酒の幻想
地酒の定義というのが最近はあやふやになっている。
その土地で造られてその土地で飲まれる酒
という元来の意味合いとはかけ離れてきている。
また、幻の銘酒、入手困難な地酒というイメージも、
実は問屋や小売店が作り出した
商売の戦略に基づいていることが多く、
実際には生産量は結構あるものだ。
ここで、2003酒造年度の
全国の清酒製造量のランキングを紹介しよう 。(※1)
1.白鶴(372,500 )(※2) |
26.会津ほまれ(25,857) |
2.月桂冠(347,500) |
27.国盛(23,112) |
3.大関(261,000) |
28.いそのさわ(21,910) |
4.松竹梅(252,300) |
29.一滴千両(22,823) |
5.日本盛(208,000) |
30.北冠(22,624) |
6.黄桜(152,300 |
31.銀盤(22,260) |
7.菊正宗(142,500) |
32.谷の越(21,228) |
8.世界鷹G(128,400) |
33.吉乃川(20,750) |
9.白雪(120,400) |
34.一の蔵(20,594) |
10.白鹿(109,000) |
35.福正宗(17.657) |
11.沢の鶴(77,382 |
36.鷹正宗(17,174) |
12.清洲桜(76,263) |
37.櫻正宗(15,340) |
13.剣菱(72,210) |
38.浦霞(14,938) |
14.福徳長(67,232) |
39.桃川(14,231) |
15.朝日山(56,723) |
40.大雪乃蔵・南部蔵(13,950) |
16.菊水(40,552) |
41.新政(13,439) |
17.爛漫(39,367) |
42.白瀧(13,400) |
18.高清水(39,156) |
43.梅錦(13,181) |
19.富久娘(35,512) |
44.美少年(13,104) |
20.賀茂鶴(34,450) |
45.眞澄(12,839) |
21.千福(33,100) |
46.男山(12,810) |
22.立山(32,027) |
47.金鹿(12,500) |
23.白牡丹(31,719) |
48.奥の松(12,177) |
24.ねのひ(29,583) |
49.千歳鶴(12,517) |
25.土佐鶴(28,240) |
50.副将軍(11,540) |
長々と50位まで紹介したが、
結構有名な地酒がランキングに入っている。
新潟中越地震で大きな被害をだした
久保田の朝日酒造も15位と生産量では健闘をしている。
以前は小さかった蔵も生産量を増やして、
大手に手が届くところまで来ているが、
これが日本酒業界の成長と見ていいのかは疑問を感じる。
だからといって、
生産量の多い蔵の酒の品質が低い
といっているのではないことはお断りしておく。
幻の酒と思ってありがたがる客が多いが、
実は相当な量が出回っていることを紹介しただけだ。
※1 日刊経済通信社「酒類食品統計月報」2004年2月号
※2 石数(1石は100升=180リッター)
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