第54回
三大中華シェフ競演の美味しさ
お品書きが筒状にまるめてあり、綺麗なリボンでとめてある。
最初の料理がついにでてきた。
「桃園結義」広東・上海・四川 三種前菜
というメニューで、
三巨匠が作った作品が一つの皿に盛られている。
特に四川の陳さんの前菜が豚の喉仏と山くらげを辛く合えたもの。
料理が終わってから、
陳さんが客席ホールに顔を出して説明してくれる。
豚の喉仏は初めて食べたが、
コリコリしていてほのかな辛味が味を引き締めている。
山くらげとの食感の妙も感じる逸品。
赤坂の四川飯店でもこれだけの気合のある料理を出せばいいのに、
と内心思いながら楽しむ。
二皿目は広東料理で、
全日空ホテルの総料理長である麥燦文さんの気合が感じられる。
「糟汁双鮮」グリーンアスパラと百合根、海鮮二種紅麹炒め
ホタテと烏賊が紅麹で赤く彩られていて、美しい。
紅麹がホタテの生臭さを消して、
まろやかな甘みを引き出している。
添えてあるグリーンアスパラと百合根もアクセントになっている。
そして第三皿。
今度は上海料理で、会場である目黒雅叙園のシェフである、
近藤紳二さんの手間隙かけたフカヒレ料理。
「銀鼎排翅」気仙沼産特大吉桐ふかひれ姿の煮込み銀器盛り
中継映像では、特大のフカヒレを10人前同時に
中華鍋で近藤さんが再度火を通すところが映された。
大人数に対応するためにテーブルごとに料理をしているらしい。
今回のためにわざわざ雅叙園で揃えたという
蓋付の銀器で提供される。
一人がヒレ1枚という贅沢は初めての体験だ。
噂によると仕入れ値が1枚三千円らしい。
口に入れるとゼラチン質の食感にスープの旨みが浸み込んでいて、
口がほころんでしまう。
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