“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第32回
蕎麦の花見を兼ねた宴会

栃木県では、蕎麦の種まきは8月の旧盆の頃で、
3日も経てば芽がでてきて、
2週間後くらいに根元に土を盛る「土寄せ」という作業を行う。
蕎麦を倒伏しにくくして、同時に雑草の駆除も兼ねるわけだ。
その後の作業は10月末頃の刈り取りとなる。

今年は台風が多くてスケジュール調整が大変だったが、
すでに種まき、土寄せは終わり、
蕎麦の花がだんだんと咲き始めてきた。
蕎麦の花は満開になると畑一面が白い絨毯のようになり、
清楚でとても綺麗だ。

この白い絨毯を見ながら酒を飲む宴会を企画した。
今年は畑に住宅が隣接しているので調理も自由度がある。
まずは、美味しい食材を手配。
以前このコラムで紹介した
鳴門のこだわりの漁師である村公一君には
鱸(すずき)をお願いし、
懇意にしている筑波山麓の西崎ファームの
放し飼いのバルバリー鴨、
大船渡の市場からは秋刀魚(さんま)などを取り寄せた。

往路は、神亀酒造で修行中の徳島の小さい蔵元の跡継ぎと
在来線の電車で同行。
宇都宮へ到着するまでの約一時間の間、
神亀の今年の造りを愉しんだ。
各駅電車でゆっくりと流れる景色を見ながら、
日本酒を飲むのは新幹線とは違った心地よさがある。

現地に到着したら、蕎麦はもう50cmくらいの背丈で、
白い花が五分咲きだった。
早速、鱸を三枚に卸し、身は刺身に。
内臓と皮は湯引き。
アラは焼き物として、バーベキュー係りに渡す。
酒は秋鹿と旭若松で1升瓶ごと燗にする。
鱸のお造りを食べ始め、秋鹿から飲み始めたら、
蕎麦の花のことなどどうでもいい気分になってきた。
バルバリー鴨の炭焼きは、ジューシーで香りもたまらない。
旭若松の芳醇な味が、鴨の上品な脂をさらに滑らかにする。
秋口の野外の宴は果てしなく続いた。


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