| 第22回日本のビールの貧弱さ
 海外出張をしてありがたいのはビールの種類の豊富さだ。ビールは上面発酵のものと、下面発酵のものに分かれるが、
 日本の大手のビール会社が作っているのは、
 ほとんど下面発酵のピルスナータイプだ。
 欧州では、その都市ごとに
 様々なタイプの地ビールを作っているのがうれしい。
 ピルスナータイプもチェコのピルスナーウルケルなどは
 現地で飲むと本当に旨い。
 雑味がなく、ホップがとてもいい苦味をだしていて、
 輪郭がはっきりしている。
 最近は日本にも輸入されているが、
 欧州内に出荷するものとは違って
 濾過をいくらか強くしているようだ。
 日本のビールは米、コンスターチなどの混ぜ物がしてあるものが多い。
 ドイツでは純粋ビール製造令という法律があり、
 混ぜ物は禁止されているが、日本では野放しだ。
 日本の大手のビールのなかでは
 サントリーのモルツスーパープレミアムが一番好きだが、
 何故か売れていない。
 アサヒスーパードライのような炭酸水に近い味が人気だ。
 アサヒも本生のように、旨いビールは僅かに生産しているが、
 消費者が選択しないので
 今では一部のビアホールでしか飲めない状況だ。
 最近では、欧州の美味しいビールが日本でも入手しやすくなってきた。
 特にベルギービールは白雪の小西酒造が積極的に輸入をしていて、
 様々な銘柄が街中の酒屋で入手できるようになってきた。
 ベルギーは世界一ビールの種類が多い国であり、
 そのビールは色々な食べ物に合いやすい。
 特にムール貝とベルギービールの相性はワイン以上にいい。
 最高に個性豊かなWestvleterenというトラピストがあるが、少量生産でほとんど出回らない。
 造った修道院でほとんどが消費されてしまう幻のビールだ。
 以前、ブラッセルの酒屋で見つけて飲んだときには
 天にも昇る味だった。
 |