第197回
“これまで”と“これから”

「しっかりと栄養を摂りましょう」
これは終戦直後の健康体力づくりの施策で言われていた事。
その後、高度成長とともに逆転現象が起こり
今度は栄養過多になってしまったので
「過剰摂取をコントロール」するという方向転換がされました。

栄養からスタートした日本の健康づくりに対する意識は
現在では運動の効果にまで注目が広がって
いかに“アクティブな日々を過ごすか”という事に
重きがおかれてきています。
それが、健康的な生活に大きく関わってくること、
そして心とからだの美しさにつながっていくこと、
ひいては人間らしく最後まで生き抜く術の一つとして
運動がかけがえの無いものになりつつあると
私は思っています。

「平成27年には460万人」
これは“要介護者”が今後どのくらい増加していくかを
厚生労働省が発表した数字です。
これは現在の270万人に対してほぼ倍の数字!
また平成32年まで
高齢者人口は増え続けるであろうとされる一方で
日本の総人口は
平成18年のピークを過ぎてからは減少していきます。
まさにピラミッドが逆立ち状態になるわけです。
医療費の増大で健康保険制度はどうなるのか、
厚生年金を今は納めていても
自分たちの時代になったらもらえない!
などなにかと不安材料目白押しの今日。
けれど、どうなるかわからない事を思い
あぐねていては前に進めません。
今、何をすべきなのかに思いをとばすと
何か突破口が見えてくるはずです。

今は治療・発見の時代から“予防”の時代に変わりました。
これからもっと必要になってくるのは
予防の為の運動を指導できる人だと思うのです。
ニーズはこれらから上がってくることは
先にあげた数字を見れば一目瞭然です。
医師をはじめ、理学・作業・言語療法士、
ホームヘルパーの人たちとの連携で
からだを動かす必要性のある方々へ
“運動”という薬を届けていく。

“運動が苦手だから・・・”
“自分がからだのあちこちが痛いから無理・・・”
“自分自身がもうこの年齢だから・・・”
そういう思いや経験のある人こそ私はグッドチャンスだと思います。
なぜなら人の痛みや気持ちを心から
汲むことができるからです。

では指導者ってどうすればなれるのでしょう。
明日はその点について書いていくことにしますね。


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