第186回
危ぶない準備運動

脚の準備運動の代表選手といえば“膝の屈伸運動”。
ですが最近ではあまり見かけられなくなりました。
なぜなら膝への負担があまりにも大きく
“準備運動”ではなく、
“膝痛め運動”に成りかねないからです。
ではこの動きはなぜ“良くない”のでしょうか。
膝の構造から追ってその理由を考えていきたいと思います。

膝を正面から見るとまぁるい骨がありますよね。
形が似ていることからよく“オサラ”と表現されますが
正しくは膝蓋骨(しつがいこつ)と言います。
これは大腿四頭筋(腿の前面にある筋肉)の力を
頚骨(スネ)に伝える
膝蓋靭帯(=腱のこと)の途中にあって、
膝を曲げた時にその膝蓋靭帯が
大腿骨と頚骨の間の関節で擦られるのを
防いでくれる役目をしています。
また大腿四頭筋の力を時と場合に合わせて活用できるように、
膝の角度を調節してくれているのです。

膝への負担を考える時に必要なのは角度で、
この角度によって重量との関係が見えてきます。
ここで“膝の角度を段々と深くしていく・・・”、
つまり曲げていくイメージをしてみましょう。
深くなればなるほど膝の重心は
前方に移動することがわかると思います。
そうなってくると
大腿四頭筋がうける負担が大きくなりますが
と同時に膝蓋靭帯がうける力も同様に大きくなります。
計算式はここでは省きますが
腿の力にこの靭帯が同じ力で耐えられなくなると
靭帯は、はがれたり切れたりしてしまうのです。
ましてや膝を90°以上曲げる運動を
反動をつけて、しかも何度も繰り返すなんて危険すぎます。
膝から上の重量の約8倍の力が
腿とスネの間の関節に押し付けられる事になるのですから!

この様な動きを何度も繰り返していると
今は平気でも時が経つと膝の関節が変形して
「変形性膝関節症」なんてものに
かかりやすくなってしまいますから要注意。
ぜひ、正しい準備運動の知識を身に付けて
逆効果な運動にならないようにしましょうね。
という事で明日は膝に負担をかけない準備運動をご紹介!


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