第55回
養生とは精気神を養うことだ−「三者の関係」

これまで3回にわたり
養生の内容として
「精・気・神」三者をそれぞれ紹介してきましたが、
この三者は体の中で独立して存在し、
別々に働くのではなく、
互いに密接な関係で繋がっているのです。
なぜそのような密接な関係にあると考えられたのか、
これから説明したいと思います。

第一に、精気神の源は同一であること。
先天の精と先天の気と先天の神は、
親からもらったものとして共同であり、
一つの根と考えることができます。
ですから、先天の精気神はそれぞれ
「元精」「元気」「元神」とも呼ばれているのです。

第二に、生命活動は
精気神の共同作用によって営まれていること。
人体における三者の役割とは次のようになります。
精は人体の生命基礎物質であり、
気は人体の全ての生命活動の原動力であり、
さらに神は人体の一切の生理活動の調整を司っており、
生命活動の主宰であります。
もし、三者の中から
ひとつでも欠けるようなことがあれば、
生命活動の完成はできなくなるでしょう。

第三に、精気神の生成と働きは
お互いに影響し合っていること。
精は生命の基礎物質であるので、
気と神の生成の基礎となります。
気は生命の原動力なので、
精の生成と神の働きはこれに依存します。
神は生命活動の主宰ですから
精気が順調に生成、補充及び
その効用を発揮するためは
神の調達調整があって
はじめて実現できるものなのです。

このように精気神は相互依存、
相互促進的な密接な関係にありますので、
養生では三者を最も重要なものと考えています。
精気神の中のどれかに偏って重視することはいけません。
遺漏することはもっと良くないです。
だからこそ精気神は
人体三宝と呼ばれるのであり、
養生とはその精気神を養うことなのです。


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