第54回
養生とは精気神を養うことだ−「神」
これまで2回にわたって
精気について紹介してきましたが、
今回は「神」の内容を紹介したいと思います。
昔の中国では、精神心理や感覚、
思惟、意念、情緒(感情)などを
現代知識のように別々に区分して
認識していませんでした。
それらは「神」という
一つの漢字の概念範囲に
すべて含まれているのです。
「神」のない人はいません。
仮に「神」がなければ
人体としても完全なヒトとはいえず、
「行屍走肉」と呼ばれます。
「神」にも精気と同じように
先天の神と後天の神があります。
生まれつきの感覚や意識、
認知などは元神といい、
脳の中にあって体内だけを感知して
生理活動を調達、調整します。
即ち、自然的に本能的に
いろいろな生理活動をコントロールします。
元神は親からもらったものなので、
先天の神とも呼ばれます。
体の成長発育によって
形成されてきた欲念、情緒、思惟などの心理活動、
意念は「欲神」、「識神」と呼ばれます。
欲神、識神は体外環境の影響を受けてから
体内の生理活動を調整します。
先天の神に対して「欲神」「識神」は
後天の神と呼ばれます。
このように「神」には
体のすべての生理活動をコントロールする働きがあり、
生命活動の主宰であるものと思われています。
だからこそ養生の内容から
「神」を整えることを外すわけにはいかないのです。
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