第34回
太極導引で学ぶ、心と意識のコントロール

これまでお話してきたように、
健康作りの第一要素は
情緒が落ち着き、心が和らぎ、意識を集中できること、
というのが中国伝統健康理論です。
今回紹介している太極導引でも
情緒の平穏と意識の集中を練習します。

体の陰陽バランスとは、現代知識でいうと
各臓器、系統の機能がバランスをとって
亢進もなく不足もない状態にあることだと思います。

こういうバランスを整える機能は
本来体が持っていたものです。
ところが生長発育するにつれて
日常生活や社会活動の中で
さまざまな影響を受けることにより、
本来のバランスを少しずつ崩していって
臓器機能を人為的に低下させた結果、
体の不健康状態が現れてくるのです。

こうした健康バランスに影響を及ぼす要因には、
我々の情緒、心理、意識が
深くかかわっているのではないでしょうか。

例えば、一日の仕事を終えて
疲れを感じているにもかかわらず、
夜お酒を飲み過ぎたり遊んだりすれば、
体はもっと疲れてしまいます。
体本来の神経調節機能や
内分泌リズムも乱れるようになり、
胃腸病や不眠症や高血圧症などの
病気の原因にもつながります。
もし、昼間にさまざまな活動をして
夜にはきちんと睡眠をとるようなバランスがとれれば、
疲れにくくなり、
高血圧症などの生活習慣病にもならないだろうと思います。

欲心や情緒のコントロールは、
意識や心理の練習によって可能になります。
病気にならないためにも自己行動を導く
情緒、心理、意識を整えることから始めましょう。


←前回記事へ 2003年9月10日(水) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ