第11回
立式八段錦功 第三段、第四段

今回も前回紹介した
立式八段錦功 第一段、第二段に引き続き
第三段、第四段の内容を紹介しようと思います。

三 挙鼎式 (ju ding shi キョテイシキ)

  準備姿勢をとってから
  (1)息を吸う 両掌を上向きにして
           一緒にみぞおちのところまで持ち上げる。

  (2)息を吐く 右手を捻って下向きにしておいて、
           次に左手を上向きのまま右手の下へ移し、
           両手でボールを抱えたような形にする。

  (3)息を吸う 両手を同時に動かして、
           左手は頭の上まで天を支えるように伸ばし、
           右手はお腹の前まで抑えるように降ろす。

  (4)息を吐く 2の形に戻る
           ただし、両手の位置を入れ替えて
           左手を上に右手を下に変更する。

  (5)息を吸う 3の動作と同様
           右手を上へ支えるように伸ばし、
           左手を下へ抑えるように降ろす。

  (6)息を吐く  2の形に戻る

  (7)息を吸う 両腕を左右に開いて掌を下向きにする。

  (8)息を吐く 両手を同時におろして準備姿勢に戻る。

この動作の練習目的は、
脾胃の機能を整えることで、
“調理脾胃須単挙(チョウリヒイスタンキョ)”
という意味です。

中医学でいう脾と胃は消化機能を持ち、
昇清(栄養物質など生命活動に良いものを挙げる)
降濁(廃棄物を降ろす)を行います。
つまり摂取した飲食物を消化して
体に必要な物は体内に巡らせ、
不要な物は排泄をつかさどる臓腑へと送り出します。
ですから脾胃の機能を改善すれば、
気血も順調に生成され体の新陳代謝も良くなります。

四 負剣式 (fu jian shi フケンシキ)

  準備姿勢をとってから
  (1)息を吸う 掌は下向きのまま、
           両掌を左右から肩の高さまで持ち上げる。

  (2)息を吐く 両掌を同時に捻って上向きにする。

  (3)息を吸う 上体を左へ捻りながら頭部も後ろに回し、
           視線は真後ろを見る。
           同時に左手を握り肘と手首を曲げて腰部に当てる。
           右手は掌を開いたままの状態で頭の上に持ち上げる。

  (4)息を吐く 2の形に戻る

  (5)息を吸う 3と同じ動作要領で
           今度は右へ体を捻り、
           左手を上に持ち上げ、
           右手は腰に曲げて当てる。

  (6)息を吐く 2の形に戻る

  (7)息を吸う 両腕を左右側から胸の前へあわせて戻り、
           掌を下向きにする。

  (8)息を吐く 両手を同時に下ろして、準備姿勢に戻る。

この動作には体の全身状態を整える効用があり、
“五労七傷往后ショウ(ゴロウナナショウオウコウショウ)”
が意味することでもあります。
五労と七傷という病気は局部の病気ではなく、
心身全体の機能が低下してきて
気血の運行も悪くなっている状態です。
そこで体を捻って、特に腰やお腹のところを捻ることで、
丹田・命門から全身の気血を整えるのです。


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