第10回
立式八段錦

今回は立式八段錦の第一段、
第二段の内容を紹介しようと思います。

一 托天式 (tuo tian shi  タクテンシキ)

   準備姿勢をとってから
  (1)息を吸う  両手をそのまま胸の前まで持ち上げる。

  (2)息を吐く  両手を開きながら掌を上向きに返し、
            両耳の横まであげる。

  (3)息を吸う  両腕を伸ばして両手を頭の上へ、
            天を支えるようなイメージで押し上げる。

  (4)息を吐く  両肘を曲げて両手を耳の横までおろす
            2と同じ姿勢に戻る。

  (5)息を吸う  両腕を胸の前で併せる
            1と同じ姿勢に戻る。

  (6)息を吐く  両手をお腹の前におろして、
            準備姿勢に戻る。

この動作の練習目的は、
「三焦」という腑の機能を整えることにあり、
これは“双手托天理三焦
(ソウシュタクテンリサンショウ)”
の意味することでもあります。

「三焦」とは中医学の概念であり、
五臓六腑の腑の一つです。
主な効能としては、
飲食物を消化排泄する胃腸の働きや
全身に気血水を巡らせる循環機能を調整します。

また、三焦は部位によって
上焦・中焦・下焦の三つに区分されています。
上焦は胸部のあたり、
中焦は胃袋、お臍までの上腹部のあたり、
下焦はお臍から恥骨までの下腹部のあたり、となります。
三焦の機能が改善されると、
全身への気血水の巡りが良くなって
新陳代謝も良くなります。

二 開弓式 (kai gong shi  カイキュウシキ)

   準備姿勢をとってから
   (1)息を吸う  両腕を体の前で肩の高さまで持ち上げて、
            両掌を相対させる。

   (2)息を吐く  肘を曲げて胸の前で両前腕を交差させ、
            左腕は外側に右腕は内側に置く。

   (3)息を吸う  左手を左へ押し出して、
            人差指をまっすぐ伸ばし、他の指は揃える。
            右手は肘を曲げたまま、
            右へ引っ張りながら開く。
            頭を左へ回し、視線は左方向をみる。

   (4)息を吐く  2の動作に戻り、今度は右腕を外側に置く。

   (5)息を吸う  右手を右へ押し出して、
            人差指をまっすぐ伸ばし、他の指を揃える。
            左手は肘を曲げたまま、
            左へ引っ張りながら開く。
            頭を右へ回し、視線は右方向をみる。

   (6)息を吐く  2の動作に戻る。右腕を外側に置く。

   (7)息を吸う  両腕を左右に開き、肘を曲げて
            平行に挙げ掌を下向きにする。

   (8)息を吐く  両手をお腹の前におろして、
            準備姿勢に戻る。

この動作の練習目的は、
胸部を開いたり閉じたりすることで、
五臓の一つである肺の機能を整えることにあります。
中医学では、肺は「気」の昇降出入を
コントロールする臓とされています。
肺の機能が改善されると、気の生成と流れを良好にします。


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