第77回
「2006年がキーワード」
私が何故「2006年がキーワードか」、
という理由を述べさせていただきます。
1.「国策」
中国には「五ヶ年計画」というものがあります。
五年毎に一つの目標を掲げ、
その目標に向かって邁進してきました。
現在は「第10次五ヶ年計画」です。
ご存知のように「西部大開拓」が目標です。
沿海部と内陸部の格差を是正するための、
様々な政策が打ち出されました。
「西気東輸」や「南水北調」などの
メガプロジェクトに代表されるように、
内需拡大を中心とした積極財政投資政策です。
したがって、株式市場では
社会インフラ整備を中心とした企業群
(電力や道路、素材関連やエネルギー)が脚光を浴びています。
2001年から始まったこの「第10次五ヶ年計画」は、
2006年からは「第11次五ヶ年計画」がスタートし、
また新たな目標が掲げられます。
次なる中国の目標は何か?
今は解りませんが、経済発展の過程においても
国策に沿ったジャンルの企業群が注目されると思います。
2. 「金融政策・金融整備」
株式市場にとって最も大きなインパクトは
通貨「元」の開放だと思います。
現在「元の切り上げ」などがクローズアップされていますが、
私は今すぐに元の切り上げは無いと思います。
もし、海外からの圧力で
元の切り上げを余儀なくされたとしても、
当局は一定のシーリング枠を設けて、
その範囲内でのフロート制(為替の自由化)を導入し、
様子を見た上で切り上げや切り下げではなく
元の開放を考えていると思われます。
朱 鎔基元首相が断行した3大改革
(国有企業改革、金融改革、行政改革)は
素晴らしい成果を上げましたが、
まだ、改革途上にあります。
今どんどん金融システムをはじめ
金融整備をやっていますが、
元の開放にすぐ対応できるとは思えません。
こうしたお家の事情もあり、
私はあと2年くらいは時間が必要だと思っています。
今年は4大銀行のひとつである「建設銀行」や、
他に「民生銀行」を新規上場させる予定になっています。
更に07年までには4大銀行を
全て上場させる予定になっています。
中国の不良債権問題が
中国株に投資する大きな懸念材料となっていますが、
こうした4大銀行の上場によって
不安材料も薄らぐものと思われます。
また、中国は今後、潤沢な外貨準備高の
約3分の1を使って
4大銀行に注入する(公的資金導入)予定です。
2006年中には
外銀への元の取り扱いも認可されるでしょう。
(現在は経常取引での元の取り扱いのみ認可。
但し、認可された外銀のみ。)
そうすると2006年くらいまでには、
徐々に実質は元の開放といっても
いいのではないかと思われます。
「元の開放」ということでは、
上海や深のB株が一番注目されるでしょう。
紙面の都合で続きを次回にさせていただきます。
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