| 第71回「長城汽車」本日新規上場
 本日、香港H株市場に中国最大のトラックメーカーが新規上場します。
 「長城汽車」(グレート・ウォール・オートモービル)
 市場コード2333
 【国内シェアは約28%(ピックアップトラック)】 同社は河北省保定市に本社を置き、ピックアップトラック
 (荷台のあるクロスカントリーカー四駆タイプの車)と
 SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)の
 製造販売を手掛ける私営企業です。
 同社の設立は84年ですが、
 97年からピックアップトラックの生産を開始しました。
 99年以降は同分野で
 国内トップシェアの地位を維持しています。
 ピックアップトラックの昨年の販売台数は2万9千台、国内シェアは約28%です。
 昨年6月にSUV市場に参入、
 販売開始から約半年で
 低価格帯SUV国内シェアは第3位に登りつめました。
 同社の起こりは郷鎮企業(私営企業)です。90年代前半においては
 専ら車輌改良事業を手掛けていましたが、
 97年に完成車(ピックアップトラック)の
 組み立てを始めたのをきっかけに、
 部品製造に事業領域を広げてきました。
 (部品メーカーの買収などによりエンジン、車軸、カー
 エアコン、座席シートなどを内製化している)
 昨年は乗用車のなかでも
 特に販売の伸びが著しいSUVに進出し、
 グループ全体の販売台数は
 昨年で初めて3万台を突破しました。
 【同社のウリは中低価格戦略】 主力のピックアップトラックとSUVは、いずれも中低価格帯に特化した商品構成となっています。
 こうした製品ラインナップは、
 同社がとっている「低コスト・低価格」戦略を
 端的に示しています。
 低価格帯の製品に特化しているにもかかわらず、
 比較的高い利益率を維持しているのは、
  1.主力工場の組み立てラインで、ピックアップトラックとSUVの両方に対応できること。
  2.SUVもピックアップトラックも、エンジンアセンブリ子会社、
 保定長城エンジン製造の「GW491QE」という
 ガソリン・エンジンを搭載していること
 (共通部品の使用による量産効果)
  3.部品内製化率の向上  4.昨年までの数年間、大規模な設備投資や研究開発投資を行っていなかったためです。
 同社はバスと特殊用途車(保冷車など)を02年度中に新規事業として開始しました。
 同事業の売上げ構成比は02年および今上期で
 それぞれ0.8%,1.0%となっています。
 同社は昨年からバスやSUVの輸出にも力を入れ始めています。
 02年通期の輸出実績は3,157台(売上げ構成比約4.4%)、
 主な輸出先は中東、北アフリカ、南米などです。
 【連結業績の推移】(単位 :百万元) 
        (香港会計基準、03年12月期は会社側予測) 
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                | 決算期 | 売上高 | 税前利益 | 純利益 | 1株利益 | 1株配当 |   
                | 2000/12期 | 1,216 | 85.22 | 55.30 | 0.16 | 無配 |   
                | 2001/12期 | 1,293 | 161.93 | 96.34 | 0.28 | 0.002 |   
                | 2002/12期 | 2,601 | 521.11 | 294.36 | 0.86 | 0.10、株配 |   
                | 2003/12期 予 | N/A | N/A | ≧51.200 | 1.47 | 無配 |   
                | 2003/6 中間 | 1,888 | 505.28 | 286.74 | 0.84 | 無配 |  |   同社の公募価格は13.3香港ドルです。03年の予想PERは
 12〜13倍(期末発行済株式数で算出)です。
 マイカー時代到来の中国で今、
 自動車株は人気化しています。
 ちなみにデンウェイ(駿威汽車)や
 ブリリアンスチャイナ(共にレッドチップ)のPERは約24倍、
 重慶長安汽車が約15倍台です。
 同社がPERで20倍まで買われると
 株価は約21香港ドルですが、
 出来れば20香港ドル以下の株価なら
 投資妙味があると思います。
 日産やトヨタが同社のSUVに対して、デザインが酷似しているということで
 同社に訴訟リスクがあるということですが、
 この件に関しては問題は無いようです。
 (私見ですが)
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