東洋証券・深堀マネージャーが
中国企業と株についてわかりやすく解説します

第64回
出動準備完了
「H株指数が大幅下落、預金準備率引き上げ」

【預金準備率の引き上げ】

中国人民銀行は、来月21日から
金融機関の預金準備率を
6%から7%に引き上げると発表しました。
急増するマネーサプライや銀行融資により
国内産業の一部で過剰投資などの加熱現象が問題化しており、
金融当局が本格的な引き締めに乗り出した模様です。
たぶん、引き上げのきっかけになったのは
今年1〜7月の各種金融機関の新規融資額が
1兆8,872億元にのぼり、
すでに昨年通年の増加額を上回っているからだと思われます。
ちなみに融資額も16兆元にのぼり、
昨年同期比で23.2%増加、
伸び幅は96年以来最高となっています。

【安定・成長経済への適切な処置】

98年3月以来5年ぶりの引き上げですが、
現実的には商業銀行の1,500億元の預金準備金
(約2兆2,000億円)が凍結され、
事実上の金融引き締め策となります。
ただ、引き上げ率が1%(6%〜7%)と小幅であることから、
貨幣市場の利率水準にも大きな変動はないと思います。
中国は世界の先進諸国を手本にしています。
90年代はインフレやアジア通貨危機を経験し、
当然日本のバブルやデフレも研究しているでしょう。

これまでも朱鎔基元首相を中心に、
過度の急伸や加熱現象が出始めるたびに
適切(私から見て)なマクロコントロールをして来たと思います。
中国の金融市場はまだ未完成な部分があり、
金融整備も併せて今回の金融政策は
あくまで安定・成長持続のための処置だと思います。

【H株の下落は別問題】

これまで本土A株やB株の低迷を尻目に、
香港H株市場はひとり活況を呈してきました。
H株指数は22日(金)、
ザラバで年初来新高値の3,323ポイントを付け
急伸していました。
当局の預金準備率引き上げ発表を受け、
一転して大幅下落となっています。
勿論金融引締めは銀行や企業への影響は避けられません。

しかし、私は前述したように
不動産や一部産業の加熱現象に対して
ブレーキをかけるための穏健な金融政策と判断していますので、
今回の金融引き締めが
H株市場下落の大きな直接原因とは思っていません。
当局の金融政策発表が引き金となって、
高値警戒感を抱いていたH株投資家の
利益確定売りに繋がったと判断されます。

一部の投資家や評論家は
H株指数が2500ポイントに乗せた頃から
高値警戒感や弱気を訴え、
それが3,300ポイントに乗せていたのですから
無理はありません。
しかし、SARSを乗り越えて、
今発表されている中間決算でも
続々と毎日のように好決算の企業が目立ちます。
中国株はまだまだこれから第2ステージへ向けて
進化していくと確信しています。
H株などの押し目を拾うチャンスではないでしょうか?

H株の新参者トリオ「シノトランス(598)」
「中海油田服務(2883)」
「宝業(バオイエ)(2355)」
なんかいかがでしょうか?

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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