東洋証券・深堀マネージャーが
中国企業と株についてわかりやすく解説します

第63回
香港市場新規公開株紹介

合和公路基建(ホープウェル・ハイウェイ)
(香港メインボード 銘柄コード0737)

香港市場では中国の高速道路株が人気を集めています。
H株の浙江高速道路や江蘇高速道路などは
年初より高い株価パフォーマンスを示しています。
本日は、珠江デルタ地域で高速道路運営をしている同社が
香港市場に新規上場します。

【会社概要】

同社はかつてハンセン構成銘柄にもなっていた
合和実業(ホープウェル、市場コード0054)の子会社です。
親会社の合和実業は、香港を代表する
インフラ系コングロマリット企業で
インフラ建設、不動産、ホテル、建築の4つが主要事業です。
香港を拠点に華南地域の珠江デルタ一帯で事業を図っています。

今回新規上場するホープウェル・ハイウェイは
広深高速道路、広州東南西環高速道路、
それに建設中の珠江デルタ西岸高速道路の
計3本を運営しています。

【香港〜マカオ海上橋計画を決定】

タイミングよく本日の日経新聞に
上記の見出し記事が掲載されています。
香港と中国本土の珠海、マカオ間に
全長30kmの海上大橋を建設する計画を
決定したという記事です。
外資系企業の製造拠点が集積する中国華南地域と
金融・物流機能の発達した香港を結ぶ交通網を整備し、
台頭する上海・華東経済圏に対抗する。
5日、香港政府と広東省の高官が合同会議を開催し
「港珠澳大橋」の建設を正式に決定した。
大橋の構想は香港の中堅財閥、
ホープウェル会長のゴードン・ゥー氏ら
香港の財界人が中心となって推進してきた。
建設費用は150億
香港ドル(約2,265億円)にのぼるとみられている。
(日経新聞抜粋)

同構想はトンネルにするか橋にするか
早くから検討されていましたが、
同プロジェクトに参入する企業としては
ホープウェルが有力だと推測されます。
したがって同社にとっては社名のように
希望(ホープ)が持てる事業となるでしょう。

【公開要領】

公募・売出価格:4.180香港ドル(額面0.10香港ドル)
発行済株式数:2,880,000千株(上場時)
公募株式数:720,000千株(うち香港での
時価総額:120.3億香港ドル
P E R:17.2倍
大 株 主:合和実業(75%、上場時)
売買単位:500株

主 幹 事:シティグループ、中銀国際
日本国内販売グループメンバー
(大和SMBC、大和證券、日興シティーグループ)

同社の業績推移等、詳細は割愛させていただきますが
同社の配当政策は、今期(04年6月期)の配当について
1株当たり0.225香港ドル以上を公約しており
(株式発行届け出目論見書による。
「不測の事態が発生しない」ことが前提。)
公募価格での配当利回りは5.38%となります。
ただ、同業他社と比較して負債比率が高いことが懸念されます。
具体的には、同社の03年4月末現在の総資産は
約125億香港ドル、
このうち借入金が105億香港ドル、
株主資本が約12.5億香港ドルとなっています。
今回の調達資金の約6割は事業拡大投資、
約3割が借入金の返済、財務体質の改善、
その他が運転資金となっています。

【同社へのひとくちコメント】

CEPA(経済協力協定)、
香港製品などの関税撤廃などを定める協定や、
通関の24時間体制及び入出境手続きの簡素化、
そして前述の「港珠澳大橋」の建設などで
本土と香港の垣根が徐々に取り払われようとしています。
同社は珠江デルタ経済圏の主要高速道路会社として
上記の恩恵を享受できることになり、
将来の成長性には高いものがあると思われます。
今回、機関投資家の公募倍率が約2倍、
一般公募倍率が約4倍強と予想よりも低調でした。
しかし、これまでのIPOでは人気が先行しすぎて
上場時には過熱感がピークとなり、
上場後には株価が下がってしまうといった銘柄が結構ありました。
そういった観点から捉えると、
同社の静かな上場は
案外拾い物となる可能性があるのではないでしょうか?
公募価格を大きく下回ったら妙味ありと思います。

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

←前回記事へ 2003年8月6日(水) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ