東洋証券・深堀マネージャーが
中国企業と株についてわかりやすく解説します

第50回
中国 ・ SARSのほうが深刻

香港株式市場は18・21日とイースター祭で休場、
本日より再開されます。
その間、中国本土(上海A株)市場はこの4日間で
先週の高値から昨日まで5.6%の下落となっています。
中国本土市場はイラク攻撃の影響はほとんど無く、
むしろ逆にこの1ヶ月間でA株市場は
13%の上昇を演じていました。

中国衛生省はじめ当局が
SARS患者の情報隠しをしていたことが明らかになり、
国際社会の批判を浴びています。
新華社電によると、共産党中央は今回の問題の責任を問い、
張文康衛生相と孟学農北京市長を更迭しました。
後任にはそれぞれ、高強次官と王岐山海南省党委書記が
近く就任する予定です。

[胡錦涛政権初の難局ともいえるSARS問題。]

中国政府がSARSに関して積極的な情報開示に転じ、
関係幹部の更迭に踏み切った背景には
「大衆重視」で支持を集める胡氏にとって、
国際社会の批判よりも、
大衆から不信感を持たれることへの危機感がある、と
時事通信は報じています。
「北京市や中国全体でもっと患者がいるのでは」
との疑惑も晴れない中、
胡氏は今後の対応を間違えると
さらに窮地に立たされることになります。
中国政府は5月1日から7日までの
ゴールデンウイーク(大型連休)を
一部取り消すことも決定しました。
連休中には多数の国民が飛行機など交通機関を使って移動するため、
SARS感染拡大の懸念があるためです。

大型連休の取り止めは消費経済効果に影響を与えます。
香港と同様、旅行業(ホテルや航空など)や
観光業者にとっては特に深刻です。
今年第一四半期の中国のGDPは9.9%と報じられましたが、
SARSの影響による
減速の可能性が出てくることが懸念されます。

[北京同仁堂科技]香港GEM市場 コード8069

そうした中にあって新高値を更新している銘柄があります。
中国漢方薬の代名詞ともなっているご存知「同仁堂」です。
2000年10月、香港GEM市場に「同仁堂」を分社化した
「北京同仁堂科技」が上場しました。
GEM市場は新興成長市場ですが、
流動性に問題がある銘柄が多いため、
個人的には3銘柄くらいしかお勧めしていません。
その中の一社が同社です。
SARSの治療薬を開発した訳ではありませんが、
同社の「板藍根」という漢方薬が飛ぶように売れているそうです。
このクスリは国家が補償する漢方で、
日本の「葛根湯」をはるかに凌ぐ
一般家庭の常備薬として愛飲されています。
勿論同社はその他の薬品も多く取り扱っています。
02年の通期決算は前年比増収・増益
(それぞれ33.3%、47.5%増)となっています。
同社の株価は1ヶ月前は10香港ドル程度でしたが、
本日は13.6香港ドルになっています。

SARSによる株式市場を取り巻く
センチメントは悪化していますが
相場は理屈じゃありませんので、
人気が人気を呼ぶということもあります。
新値を更新している同社株、
勇気のある投資家の方にだけお勧めします。
同社の詳細は次回ご紹介いたします。

情報が分からないまま、
国家にも一抹の不安を感じつつ人々はマスクを着用し、
競ってクスリを買う姿がテレビで放映されています。
一時の騒ぎで終わるのか、長期化するのか。
一刻も早くSARS騒ぎが終焉することを願って止みません。

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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