東洋証券・深堀マネージャーが
中国企業と株についてわかりやすく解説します

第41回
全人代開幕ーーー経済成長率・目標7%

今日から第10期全人代がはじまりました。
朱 鎔基首相による政府活動報告の内容を中心に、
要点や注目要綱などを簡単にまとめてみました。

報告の大要(2003年の目標)

1.積極財政と穏健な通貨政策を継続させ、経済の
  安定成長を実現する。
2.農業と農村経済の全面発展を促進させる。
3.国有資産管理体制改革を進め、WTO加盟に伴う
  対外開放を一層進める。
4.政府機能を強化する。(機構改革)

いずれも大事な目標であり、その他にも種々ありますが
今回は下記の事項に焦点を当ててみたいと思います。

要点 政府機構改革 (大幅に断交)
今年の経済目標 (経済成長率7%目標)
経済体制 (非公有制経済の発展)

まず政府の機構改革ですが、新たに「国有資産管理」
「国家農業」「国家エネルギー」「銀行監督管理」の
各委員会や「商業省」が設けられる模様です。

国有資産はこれまで複数の機関が担当してきましたが、
国有資産管理委がこれを統括し、経営不振の続く
国有企業改革でも中心的役割をはたすようにする。
農業委は胡 錦濤政権が最も重視する農業を統括する。
また、中国人民銀行の金融監督部門を分離させた
銀行監督委の新設で、国有商業銀行の巨額不良債権の処理を
加速させるのが目的です。
これはかつて朱 鎔基首相が推進してきた3大改革のひとつ
「行政改革」をさらに推し進め、「WTO対応型政府」作りを
目指しているものと思われます。

今年の経済成長率の目標を7%前後と打ち出しています。
積極財政投資、内需拡大政策の継続。
そして何よりも「穏健な通貨政策」を堅持すると述べています。
これは、元の切り上げ圧力に対する中国側の姿勢として注目
されます。

経済体制改革に関しては具体的に次のような点が注目されます。

○ 個人経営、私営などの非公有制経済の発展を奨励、
  支援し導く。引き続き国有企業の株式制への改革を推進。
  大企業の海外上場を積極的に支援する。
○ 引き続き電力、電信・電話、民間航空などの改革を進める。
○ 国有資産管理体制を改革し、国内民間資本の市場参入分野を
   広げる。
○ 金融サービスの改善、監督・管理を強め、証券、保険、通貨
  市場の発展を規範化する。
  社会信用システムの確立を加速する。

中国は、内陸部と沿海部の所得格差、農業問題、
そして日本と同じく不良債権や国有企業改革による
弊害の失業問題などが山積しています。
そうした中で江 沢民や朱 鎔基の指導力が
驚異的な経済成長の牽引役となってきました。
今後、第三世代の胡 錦濤体制がこれまでのように
中国の経済成長をどこまで牽引できるか、
一抹の不安と期待感を持って世界が注目しています。

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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