第476回
中国銀行家の自信回復は吉祥か?政策の緩みも
中国人民銀行と国家統計局は、
全国の銀行幹部を対象に、
経営状態や今後の見通しなどについてまとめた
「2005年第4四半期・全国銀行家調査報告」を
発表しました。
この結果から大筋で、
銀行家自身による自信や景気、
銀行業の状態などは良好のものとされましたが、
詳しくみていくと、若干の不安要素もみられます。
たとえば、銀行業景気指数は67.2%となり、
調査開始以来最も高い水準となりました。
05年には、不動産投資引き締めなど
マクロ調整に関する政策が発表され、
人民元為替レート調整
(いわゆる人民元の切り上げ)と
為替メカニズムの改革が行われたものの、
商業銀行の経営状況は依然として安定していると、
人民銀行などでは判断しています。
その通りなのですが、一方で、
貨幣政策に対する見方でも
「妥当」との回答が全体の77.4%となり、
これも調査開始以来最も高い水準になりました。
「若干の引き締め感がある」は13.9%となり、
調査開始以来、最も低い水準です。
金融引き締めが加速した04年4−6月には
「若干の引き締め感がある」との回答が
52.0%にも達したことから考えると、
急降下しているといえます。
また、銀行家による
貸付需要(が旺盛かどうか)の景気指数では、
64.1%です。
最低となった05年4−6月と比べると
若干高くはなっていますが、
調査開始以来最高となった04年1−3月では
68.9%だったことから考えると、
多くの銀行家が貸付需要は
徐々に低迷していると
判断していることになります。
つまり、総じて銀行業は
順調といえるかもしれませんが、
多くの銀行家が
それほど貸付需要は旺盛ではないと
考えていることもさることながら、
投資抑制策が
依然として取られている中国において、
その最前線にいるべきの銀行家の考え方として、
貨幣政策に「引き締め感」が
薄れてきていることは、
投資抑制という国策の実効性が
疑われるデータだともいえます。
それがマクロデータとなって現れてきています。
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