| 第471回工業企業の赤字が過去最高の65%増の2000億元に
 今までも、2005年になってから、上場企業に限ったことではないですが、
 中国企業全体(工業企業)の業績が、
 堅調ながらも、
 赤字企業や赤字額が急速に膨らんでいることを
 紹介したことがありますし、
 最新の予測だと、工業企業の赤字額が
 史上初めて2000億元の大台に達しそうです。
 そうなれば前年と比べて実に65%増加です。
 2000億元といってもぴんとこないかもしれませんが、
 日本円で2.4兆円であり、
 今までの統計が残っている中で、
 最悪の98年(アジア金融危機直後の年)でも
 1736億元程度でして、
 その98年から04年までの
 年間平均赤字額は1300億元程度です。
 現在の中国は、こうした莫大な赤字を抱えながらも、
 全体としてはその赤字を消化して、
 さらにあまりある増益
 (05年1−10月は、前年同期比19.4%増の1兆1117億元。
 つまり赤字企業の赤字額を差し引いた、
 利益企業による利益額は
 同期の赤字額1725億元を上乗せした1兆2842億元)を
 たたき出しているともいえます。
 しかし、それはあまりにも
 楽観視したものの見方というべきです。
 政府がマクロ調整を進めている中で、固定資産投資が依然として25%以上伸びており、
 よく指摘されるように、
 現在投資している分の生産設備が
 稼動することに伴う、
 将来的な生産過剰状態の出現は、
 もはや直前に迫っているともいえます。
 どの業界においても
 (特に心配されているのは、
 鉄鋼、セメント、電解アルミなど)、
 需要をはるかに上回る生産過剰は、
 収益を著しく悪化させ、
 現在の増益を維持できている構造に変化をもたらし、
 赤字額を増大させる可能性があります。
 政府のマクロ調整も、現場の銀行においては、
 銀行家が貨幣政策を締め付けすぎ、
 と考える人が急減、
 政策が適度だと感じる人が
 多くなってきているというデータが出ており、
 1年以上の政策実施を経て、
 現在までに若干形骸化しているとも
 いえなくありません。
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