第452回
鳥インフル:情報開示を中心とした中国政府の取り組み

今回の鳥インフルエンザのまん延で、
世界銀行では2005年11月8日、
全世界の経済的な損失額は
8000億ドルに達するとの見方を示しました。
実に100兆円近い額になります。
しかし、これは一方で
楽観的な見方だとする意見もあります。
日本で、もしヒトからヒトに感染する
突然変異型のウイルスが
まん延するようなことがあれば、
日本一国の経済的な被害額は総額で20兆円、
GDP(国内総生産)を
3.8%程度押し下げるともされています。

世界銀行の発表によれば、
その発表時点で、鳥インフルエンザによって
1.5億羽の家きん類が死亡、あるいは処分され、
人も東南アジアを中心に63人が死亡、
直接的な経済損失は
100億ドルに達するといいます。
世界銀行では
総額10億ドルの緊急貸付を行うことを決定、
「援助が必要な国」に対して、
鳥インフルエンザ抑制のための資金として
供給されます。

これより以前、
米国のブッシュ大統領は11月1日、
鳥インフルエンザの流行に備え、
ワクチンの製造費用や開発費用、
抗ウイルス薬の備蓄費用など
総額71億ドル(約8400億円)の緊急資金を
議会に要請しています。
中国でも11月2日、国務院常務会議で、
鳥インフルエンザの感染拡大を
防ぐことをメインにした対策指針を発表しました。

これは、前日にブッシュ大統領が
鳥インフルエンザ対策を発表したこと、
同大統領が11月下旬に
訪中を予定していることなどの
外交的な配慮があったともされますが、
新型肺炎SARSへの対応で、
情報公開をセーブするなどして、
世界的な信用を失った中国としては、
むしろ、そうした事態の再発防止に向けた
対外的なアピールに
主眼が置かれたものと思われます。

中国政府も、
鳥インフルエンザに対応するため、
20億元(約290億円)の対策基金を
設けることを決定していますが、
中国政府の狙いとしては、
中央と地方が一体となって
情報がスムーズに公開されるような
体制作りにあると思われます。
実際、広州市では、
人への感染の疑いがあるとの通報が
市衛生当局にあった場合には、
6時間以内に診察を行い、
確認をすることなどを盛り込んだ
「鳥インフルエンザの人への感染に関する
 緊急対応マニュアル(試行)」を
まとめるなどの動きが見られます。

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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2005年11月17日(木)

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