第441回
「5カ年計画」は、社会主義的ではなく中国的
なかなか本題にたどりつけませんが、
「5カ年計画」と「5カ年規画」についてもう少し。
5カ年計画というと、
反射的に社会主義の計画経済が
イメージされがちです。
社会主義だからこそ5カ年計画、
5カ年計画があるから社会主義、
のようにとらえられる向きもあります。
「社会主義市場経済」を標榜する中国が、
そうしたイメージ払拭のために、
今回の11回目から「5カ年計画」ではなく、
「5カ年規画」という名称に
変更したという背景も
もちろんあると思います。
ただし、この変更に関わらず、
社会主義だからこそ5カ年計画、は、
まだしも、5カ年計画があるから
社会主義という考え方が
日本には根強いようですが、
私個人はそのように思いません。
旧ソ連などで行われていた5カ年計画はともかく、
中国の5カ年計画は、当初は別とすれば、
第7次5カ年計画(1986年〜1990年)ぐらいから、
特に第9次5カ年計画(1996年〜2000年)以降は、
むしろ社会主義的ではなくて、
中国的なものだ、と考えています。
文化論とも関わってきますし、
それだと私の専門ではなくなりますので、
触りだけ紹介すれば、
中国人はきちんきちんと計画立てて行動することを
好むような傾向にあると感じています。
中国人が商才に長けているというのは
ほとんど定説ですが、
それにしても、それが表に現れない、
内面の部分でかなり緻密な計画と仮説、
そのための行動がもともとインプットされており、
それが計算に基づいて
アウトプットされることによっているのは明白です。
散文もありますが、
絶句や律詩がいわば
シンメトリー的な設計美を構成しているのは、
いかにも中国的だと思えてなりません。
緻密な計画性はむしろ中国人の専売特許であり、
現在も5カ年計画を実施しているから社会主義、
というのではなく、
中国の現状や中国人の考え方から言えば、
中国だからこそ5カ年計画なのだ、
という方がよりぴったりしていると思います。
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