第432回
靖国参拝と中国株:反日・嫌中リスクに要注意
小泉首相による
靖国神社参拝の中国株への影響としては、
短期的には大きな問題はないはずです。
日本の中国関連株と違い、
中国株の日本コンセプト銘柄は
それほど数は多くないですし、
相場に与える影響も軽微なものと考えられます。
ただし、長期的には
日中関係がこじれればこじれるほど
厄介な問題になることが想定されます。
日本マネーの中国株への影響力は小さくありません。
この日本マネーが全体として
投資を控えるようなことになれば、
もしかすると大きな問題になる可能性があります。
香港証券取引所は、
05年4月に香港市場に対する
日本資本の参与状況に関するレポートを発表、
ウェブサイトで公開しています。
趣旨としては、思われているほど
日本資本は香港に対して
まだまだ参与度合いが小さい、ということですが、
その潜在力は大きく、
これを何とか香港に誘導できないかとも
読み取れるものとなっています。
中国が態度を硬化させて、
日本パッシングを強めるようであれば、
日本の嫌中感は否応なく高まります。
そうなれば、少なくとも
多くの日本人の中国への反発は、
中国本土市場はもちろん、
香港市場も含めた中国株からも
日本人を遠ざけることになります。
靖国参拝やそれ以前からの
反日感情の高まりもあって、
中国におけるインターネット上の過激な発言の中には、
「戦争も辞さず」というものまでありますが、
そこまで非現実的なことを言わないまでも、
靖国参拝に対する
自国政府の形式どおりの抗議に対して、
「それでは生ぬるく、大使の召還など
実質的な外交手段に訴えるべきだ」
というものまであります。
中国のごく一部とはいえ、
そうした議論までに高まっていることは、
日本ではあまり知られていませんし、
そうした議論の趣旨について、
多くの日本人が
あまり理解できないことだと思いますが、
だからこそ、中国側のこうした態度が
日本でも広く知れ渡れば、
日本の中国に対する見方は
急速に悪化することになるはずです。
反日・嫌中リスクは、
日本の外交や企業による
中国事業に対するものばかりでなく、
中国株にとっても
大きなファクターであり続けるでしょう。
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