| 第377回不良債権:3カ月で30%減、約18兆円にまで圧縮
 中国銀行業監督管理委員会(CBRC、銀監会)は、
 2005年6月末時点の
 商業銀行全体の不良債権比率が
 年初より4.14ポイント低い
 8.71%となったことを発表しました。
 残高は1兆2759億元です。
 日本円にして、約18兆円弱です。
 これを多いと見るか、少ないと見るかはともかく、
 驚いたことに、これは
 05年3月末時点と比べて
 実に30%以上も減少した数値となっています。
 国有四大銀行など主要銀行に限ってみてみると、
 不良債権比率は8.79%、残高は1兆1637億元。
 05年3月末時点と比べると、
 やはり30%以上、5491億元の減少となっています。
 05年3月末時点では、
 年初と比べるとわずかに
 48億元程度しか減っていないことを考えると、
 この5491億元がいかに大きな数字だか分かります。
 この、本来ならばありえないような不良債権処理は、
 やはり政策的な措置によるものです。
 中国最大手の商業銀行で、
 国有四大銀行の筆頭である中国工商銀行が、
 この期間に数千億元レベルの
 不良債権処理に動いた結果です。
 05年4月、国務院は中国工商銀行の株式制改革法案を認可しています。
 150億ドルの外貨準備を資本金に充てて
 自己資本比率を6%にまで高め、
 さらに劣後債を発行して
 自己資本比率を8%以上に
 引き上げることを求めたものです。
 これをきっかけとして、工商銀行では、国内外から広く戦略投資家などを募るなどして、
 企業統治(コーポレート・ガバナンス)を確立、
 株式会社化を経て、
 早ければ05年中にも香港を含む
 株式公開を予定しているとも言われています。
 すでに明らかになっている工商銀行の不良債権は
 総額6900億元といわれていますが、
 そうした流れの中で、6月に入ってから、
 そのうちの2460億元程度が、
 政策的資産管理会社に委託されて
 処理される方向が示されました。
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