第361回
米中摩擦が加速、CNOOCによるユノカル買収
中国海洋石油有限公司
(CNOOC、0883)による
ユノカル社買収については
根強い米国側からの反発に合っているようです。
米中両国のエネルギー政策とも関わるため、
米国が慎重になるのはやむを得ません。
中国側では、
今回の買収劇を「企業の行為」として、
むしろ政治色の払拭に
躍起になっているようですが、
今回の買収を単純なビジネスとしてとらえるのは
いろいろな意味で難しいでしょう。
ただし、単純な「企業行為」としようとする
今回の件での中国側の対応は、
根本的には間違ってはおらず、
それが米国に通用するかどうか、
あるいはそれによって
今回の買収が成功するかどうかはともかく、
中国はいい意味でも悪い意味でも
躍進を続けることは間違いなく、
今後もこうした問題は
続発する可能性が高いといえます。
中国企業による買収行為で、
米国側からの反発というのは
聯想(レノボ、0992)による
IBMのPC事業買収を思い起こさせます。
これも2004年12月に買収劇辞退は発表されましたが、
米国の反発が強まったのは
今年に入ってからです。
CNOOCによるユノカル社買収が
加速したのも今年に入ってから。
この二つの案件による米中摩擦は
当然偶然ではないでしょう。
人民元のレート見直しが、
米国サイドからすれば遅々として進まない中で、
米国の経済界からの中国に対する反発は強まっており、
加えて、一つは情報、一つはエネルギーという、
昨今の国の安全保障上
絶対に切り離せない分野における、
いわば中国側からの米国に対する攻勢ですので、
これで米国側からの反発の声、
摩擦が起きないほうが不思議でしょう。
中国脅威論が、日本以上に、
米国に浸透しているかもしれません。
エネルギーについては、ご存知のように、
中国は今でものどから手が出るほど欲しいですし、
今後はその傾向が
さらに強まることが予想されます。
CNOOCによるユノカル社買収は、
これが成功するかどうかに関わらず、
中国としては進めていかなければならない
一手であるといえます。
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