第319回
5月9日のブラックマンデーは人民元政策の観測と関連
2005年4月後半、
5月のゴールデンウィーク(GW)中に
人民元切り上げに関する
新たな動きがあるのではないかといわれていました。
4月29日には、
欧米の機関投資家による予測として、
人民元政策発表が日曜日の5月8日になると、
ほとんど断定的に伝えられました。
そのため、GW直前最後の取引となった4月29日、
中国本土市場では、
不動産や航空関連セクターなど、
元の切り上げによって
恩恵を受けるとされる銘柄を中心に急騰する一方で、
逆に切り上げによって
ダメージを受けるとされる
輸出関連銘柄では急落しました。
輸出関連銘柄には、
中国国際コンテナ(200039)や
上海振華港口機械(900947)など
B株でもお馴染みですが、
A株も発行しており、
中国現地でも
評価の高い銘柄も含まれていましたので、
4月29日の急落とGW期間の
大きな話題になっていました。
結局、5月8日は何もありませんでした。
考えてみれば、
株式市場に対する影響だけを考慮したとすると、
政策発表があるとすれば、
やはり4月29日の引け後がふさわしく、
8日では、株式市場は休場ですが、
中国現地では、大型連休の後の、
振り替え休日ならぬ振り替え出勤日で、
いわば平日扱いです。
しかし4月29日に発表されたのは、
以前にも紹介した
「上場会社の株式流通・非流通の区別に対する
改革の施行と関連する問題に関する通知」でした。
いわゆる「全流通」問題です。
5月9日、大型連休明けの中国本土は稀に見る急落、
指数ベースでも実に5%を超える下げ幅を記録しました。
「全流通」問題が嫌気されたのは当然ですが、
それプラス、人民元の切り上げが
8日に行われなかったことの反動、
さらに「実は政策発表日は8日ではなく、5月18日だ」
との観測が再び流れたことによって、
優良で規模の大きな、
特に上述のような輸出関連銘柄が大ショックを受け、
中国国際コンテナに至っては、
10%近くの下げ幅を記録して
6年ぶりのストップ安を記録したほどです。
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