| 第294回全体上場の先陣も切る交通銀行、株式公開準備着々
 交通銀行は、2004年末に中国の中央銀行である中国人民銀行から
 30億元の公的資金注入を受けたことで
 同行の自己資本比率が11.62%となり、
 これで、株式公開に向けて、
 障害は基本的になくなっています。
 ただし、どうも交通銀行では、A株とH株の同時発行(A+H同時上場)に
 こだわっているようです。
 一時期はこれをあきらめ、
 A株のみの上場か、ともされましたが、
 最近になって、やはり株式公開に当たっては
 H株も同時にデビューしたい
 という考えになってきているようです。
 企業側からしてみれば、やはりA株は政策リスク含めて、
 不安定さを感じさせるのでしょうか?
 われわれのように海外の人間ほど、
 A株や中国本土の株式市場に
 不審は抱いていなくても、
 少なくとも、自社の資本政策において
 市場としての海外への窓口は
 確保しておきたい思惑があるのでしょう。
 A株を上場してからH株の申請をするのは二度手間ですので、
 できれば、同時にデビューしたい
 ということもあると思います。
 また、交通銀行は総額で
 20億ドル程度の調達を見込んでおり、
 それほど大規模ではないとはいえ、
 A株だけだと理想的なパフォーマンスに
 不安があると考えているのかもしれません。
 ともあれ、交通銀行の上場は意義が大きいといわねばなりません。
 国有銀行では、現在までに、
 いわゆる全体上場というケースはありません。
 今後、この全体上場が
 国有各行の目標になってきているわけですが、
 交通銀行こそがその試金石になりそうです。
 ただし、交通銀行の上場は5月前後にもとされているのに対して、
 A+H同時上場の実現に言及した
 香港証券取引所の周文耀・CEO(最高経営責任者)は、
 「2005年中にAH同時デビューは実現する」
 という言葉にとどめておりますので、
 今後、交通銀行の上場が
 スムーズに行くかどうかは
 まだまだ不透明です。
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