第292回
AH同時デビュー実現はH株株主には有利か
A株とH株の同時発行(A+H同時上場)が
実現すればどうなるのでしょうか?
ごく常識的に考えて、
今までもA株とH株の連動性は
強いものがありましたが、
この連動性がより強まる、
少なくとも、ほかの非同時デビューのA株と
H株の同時上場銘柄と比べて、
格段に強まることが予想されます。
一緒にデビューしといて、
あまりにも大きな格差が生じれば、
よりその不自然さが際立つために、
良くも悪くも連動性が強まります。
ここ最近、A株を中心とした中国本土の銘柄は、
全体としては下げてきています。
一方のH株は20世紀末や21世紀突入直後と比べれば、
評価が順調に上がってきています。
H株の第1号は、
おなじみの青島ビール(0168)で、
上場は1993年のことです。
以来、2004年末までに、
A株とH株を同時に上場させている
(同時のデビューではない)銘柄数は
30社を数えるといいます。
香港証券取引所が
最近まとめた研究レポートによれば、
ここ数年のH株の上昇を受けて、
A株とH株の格差は
縮まってきているとしてきています。
2000年末、上海A株の平均PER(株価収益率)は59倍、
深センA株では同じく56倍でしたが、
これが2004年末までに
それぞれ24倍と26倍に下がっています。
同時期、H株の平均PERは9倍から16倍に上昇、
ハンセン指数攻勢銘柄の平均PERも
13倍から20倍に上昇してきています。
過小評価の香港に比べて、
過大評価の中国本土という構図は、
少なくともその格差は
徐々に薄れてきているのは確かです。
これも、A+H同時上場が
実現に向かっている大きな要素となっています。
それでも、A株は
まだまだやはり若干評価されすぎです。
そのため、A+H同時上場は、
H株しか購入できない
われわれ外国投資家にとってみれば、
A株の過大評価の恩恵を受ける可能性が強くなる分、
有利になる可能性はあります。
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