第269回
企業が政策動かす、華能国際電力の原発参入計画
原発が必ずしも
中国のエネルギー問題を
抜本的に解決するものとはいえません。
原発に関しては世界中に議論がありますし、
日本でもむしろ反対派が根強いのが現状でしょう。
ただし、だからといって、
中国政府が原発以外の
エネルギー問題解決の代替案を何か示しているか、
といえば疑問です。
前回もご紹介したように、
原発の非積極的な利用という姿勢を
堅持するのであれば、
それに変わる方法を提示しなければなりません。
現実的に言って、
現在の中国が将来予見できるエネルギー危機を
回避するためには、
やはり原発の有効利用を考えるのが
現段階においては筋道だと思われます。
そうした動きは、むしろ政府よりも、
企業から出始めています。
2月14日、中国株銘柄としてもお馴染みの
電力の華能国際電力(ファネンパワー、0902)が
原発への参入を進めると報じられました。
その報道によれば、
華能国際電力は原発運営にあたり、
中国核工業建設集団及び
清華大学と合弁会社を設立。
権益の50%を取得するとされています。
なお、残りの35%を核工業建設集団が、
5%を清華大学が取得。
10%は一般投資家の持分となるようです。
報道時点での計画では、
山東省威海市にガス冷却型原発を建設、
設備容量は195メガワットで、
5年後の商業運転を予定しているようです。
予備調査(フィージビリティ・スタディ)が完了した段階で、
現在は当局の認可待ちとされています。
この計画が本当だったとして、
また、5年後、つまり、2010年ごろに
商用運転が開始されたとして、
華能国際電力全体の規模から言えば、
この原発による収益そのものは、
まだまだ大きいものにはならないことが予想されます。
ただし、この計画が、
政府の意向をどれぐらい反映したものであるかにもよりますが、
企業側が積極的に
原発にかかわっていく姿勢を示したことは、
ある意味で、中国のエネルギー問題解決に向けた
転換点になる可能性もあり、
華能国際電力の業績への影響などだけでなく、
中国全体の将来にかかわるものとして、
関連報道を追いかけていきたいと考えます。
|