第262回
オリンピック前後で「投資」と「消費」は主役交代
2007年ごろになって、
現在の中国経済の、相対的な
「消費(社会消費財小売総額)」低調、
「投資(固定資産投資総額)」過剰の傾向は
抜本的な改善の兆しが見えてくるかもしれません。
翌年に北京オリンピックを控え、
個人消費の活性化は当然考えられることですし、
それまでに培われてきた
「消費」の相対的な低調にありながらも
堅実な成長による、
例えば、外資や輸出がけん引するようなシステムが
変革されるなど、
中国経済の構造的な改革が
水面下で推進されてきたことが、
顕在化する機会を得るかもしれません。
80年代や90年代を通じて、中国では、
今まで「消費」も「投資」も
基本的にはマイナス成長になったことはありません。
経済成長を続けているので、
当たり前の話ですが、
もしかしたら、「投資」では、
2007年を通じて、2008年以降、
マイナス成長になるかもしれません。
私は全く賛成できないのですが、
中国の経済成長は北京オリンピックまで、
という論調が現在の日本でも
かなり根強く残っていますし、
時には主流になることもあるのですが、
それは、ある意味では、
「投資」面では、落ち込み、マイナス成長となるなど、
そうなる可能性はあるかもしれません。
一方の「消費」は、常識的に考えて、
今後もどのような形になろうとも、
マイナス成長になることはないと考えられます。
むしろ、オリンピックを契機として、
「消費」は急成長時代に突入するかもしれません。
現在の中国はバブル、
という言い方が良くなされますし、
一部ではそういう傾向もまったくないとは言いませんが、
私に言わせれば、
中国はまだまだそういう段階にない、
未成熟な段階ですので、
もし中国にバブルが発生するとすれば、
この「消費」は急成長後であろう、と考えています。
要は、08年のオリンピック、
あるいは2010年の上海万博を通じて、
中国経済の「投資」の時代は終焉、
「消費」の時代になるでしょう。
それから、やはり数年の時間をかけて、
中国経済は成熟段階を迎え、
「消費」が経済全般をけん引するような形態に
移り変わっていくことが予想されます。
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