| 第260回「消費」<「投資」 今後数年、格差は拡大傾向に
 2002年を境に、中国の「投資(固定資産投資総額)」と
 「消費(社会消費財小売総額)」の強弱が
 よりはっきりとしてきます。
 02年に「投資」額が「消費」額を上回りました。
 「投資」額が4兆3499.9億元に対して、
 「消費」額が4兆910.5億元です。
 両者の逆転は1994年以来のことです。
 02年の両者の成長率は、「投資」が16.9%であるのに対して、
 「消費」は8.8%にとどまっています。
 その後、「投資」と「消費」の格差は広がる一方で、
 実額ベースで、03年には1兆元以上、
 04年には2兆元近くまで、
 「投資」は「消費」を上回ることになりました。
 これに対して、中国政府は経済の過熱感を指摘、
 引き締め策を講じて、
 投資過熱抑制に乗り出した、というのが、
 昨今の中国経済の大きな流れになっていくわけです。
 この両者の関係が今後どうなっていくかが、中国経済を見極めていくうえで、
 重要な指標になってくるはずです。
 私見では、相対的な「消費」低調、
 「投資」過剰傾向は今後も続くことがよそうされます。
 前回も指摘しましたが、
 04年の「投資」の成長率が25%を超えたのに対して、
 「消費」はわずかに10%程度。
 05年は、経済の急成長自体に歯止めはかかるとはいえ、「消費」がやはり10%程度の成長を維持したとしても、
 「投資」は、今までの惰性もあって、
 15%成長を下回ることはないと見られていますから、
 ただでさえ、実額で「投資」が大きい上に、
 成長率でも「投資」が上回るということになれば、
 格差はますます広がることになります。
 以前にもお話したとおり、中国の現段階において、
 「投資」が先行するというのは
 決して異常なことではありません。
 インフラ整備に対する投資は、
 今後の中国経済の成長を考える上では、
 今、ある程度は必要なことです。
 ただし、それも限度があります。
 要は、あまりにも「投資」が
 過熱しすぎるようであれば、
 調整が必要で、
 それに対する警戒は、
 04年に引き続き、05年も、あるいは06年も
 中国の重要な課題になってきます。
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