第221回
2004年のIPOを振り返る(1):平安保険、SMICなど

2003年に続いて、2004年も
IPO(新規株式公開)ラッシュになる可能性が指摘されました。
しかし、思いのほか少なかったといえます。
四大国有銀行の建設銀行が株式会社化の遅れなどもあって、
予定していた04年中のIPOが実現できずに、
05年に持ち越されたりしました。

2005年は、
建設銀行と中国銀行という四大国有銀行ばかりでなく、
交通銀行という、やはり大手の国有銀行もIPOを控えており、
一気に大手3行の上場が実現する可能性もあります。
これについては、前にも触れましたが、
2005年になってから、
また改めて触れる機会もあるでしょう。

03年の後半から、
H株の相場が異様に盛り上がりました。
そのため、我も我もと香港上場目指す中国企業が
多かったのですが、
04年は総じて調整の年となったため、
上場を見合す会社も少なくありませんでした。
しかし、後半にかけて、特に10月以降、
地合いが良くなったこともあって、
IPOが目立つようになった、というのが、
04年の特徴といえます。

04年に香港でIPOを行なった主な銘柄をみてみると、
規模としては、6月の平安保険(2318)や
3月の中芯国際(SMIC、0981)が大きくなりました。
この当たり、日本でも引き受ける証券も多く、
よく知られているところだと思います。

注目された、といえば、
6月上場の中海コンテナ(2866)は、
中国海運(集団)総公司という
中国を代表する企業からのスピンオフということもあり、
今後の業績にも期待が持てる銘柄として、
日本の投資家の皆様にも人気のある銘柄になっています。

スピンオフといえば、
和記電訊国際(HTIL、2332)です。
香港最大のコングロマリットである
長江(チョンコン)グループの最重要旗艦である
和記黄埔(ハチソンワンポア、0013)の通信事業部門です。
バックがしっかりしていること、
株価そのものの価格が低いことなどもあって、
これも注目が集まる銘柄になっています。

中国には、発電会社としては
五つの大きなグループに分かれています。
華能国際電力(ファネンパワー、0902)が属する華能集団や
大唐国際発電(ダタンパワー、0991)が属する大唐集団などが
有名ですが、
その一つとして中国電力投資集団(CPIグループ)があり、
中電国際は、このCPIグループの香港子会社です。
中国の電力会社としては、
初のレッドチップ形式となっています。

電力は2004年、
石炭不足や石炭価格の高騰などで、
苦戦が続きましたが、
中国株における電力は依然として人気のセクターであり、
経営も相対的に安定、高配当銘柄も相対的に多いことから、
中電国際も当然のように注目されています。

電力も、通信などと同じように、
業界全体として、上場機運の高いセクターの一つです。
まだ上場会社を保有していない電力グループの上場も
今後、実現する可能性もあります。

- 2004年IPO銘柄 -
証券
コード
銘柄名
上場日
発行価格
(香港ドル)
調達資金
(億香港ドル)
12/9終値
(香港ドル)
発行価格比
0981 中芯国際
(SMIC)
2004/03/18
2.690
138.54
1.85
−31.23%
2319 蒙牛乳業
(モウギュウニュウギョウ)
2004/06/10
3.925
13.74
6.2
57.96%
2318 平安保険
(ヘイアンホケン)
2004/06/14
10.330
143.28
13.4
29.72%
2866 中海コンテナ
(チャイナシッピングコンテナ)
2004/06/16
3.175
72.99
3.225
1.57%
2380 中電国際
(チャイナ・パワ−・インターナショナル)
2004/10/15
2.530
75.90
3
18.58%
2332 和記電訊国際
(HTIL)
2004/10/15
6.010
69.42
6.45
7.32%
0906 中国網通
(チャイナネットコム)
2004/11/17
8.480
88.62
9.45
11.44%
0763 中興通訊
(ZTE)
2004/12/09
22.000
31.02
24.4
10.91%

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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2004年12月30日(木)

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