第144回
相場の混乱者か?中小株主の味方か?「郎監管」
中国株の爆弾「郎監管」こと
香港中文大学教授の郎咸平氏が注目されたのは、
その過激な主張も大きな要因ですが、
問題としようとしていることが、
実は、今の中国企業の大きな問題点を
鋭くついているという側面がある、
それが多くの人に、
(あまりの過激な論説のために)
共感されるまではいかないが、認知された、
といえるのではないでしょうか。
前回までに紹介した
中国石油化工(シノペックコーポ、0386)に対する
指摘については、中国石油化工だけの問題ではなく、
極端にいってしまえば、
中国のほとんどの企業が多かれ少なかれ
抱えている問題ともいえます。
「親会社による上場企業利用」
これは、大きな問題です。
そのための解消方法なども模索され、
「全体上場」への動きが加速しているのも、
こうした背景によるものといえます。
それはともかく、
郎氏の舌鋒の矛先が中国家電業界に向かうにあたって、
郎氏の言論に端を発して、
泥沼化の様相を呈してきました。
最も顕著なものが、
冷蔵・冷機システムで有名な
グリーンクールとの舌戦です。
同社の顧雛軍・董事長との
「個人的な確執」にまでなっているのですが、
それに触れる前に、
海爾集団(ハイアール)やTCLといった
ビックネームとの対決を追っておきます。
郎氏が、海爾集団を問題にしたのは、
香港上場の海爾中建(ハイアールCCT、1169)への
資産注入の不透明さ、さらに言えば、
海爾集団内部の持ち株会についです。
郎氏の研究によれば、
海爾集団の持ち株会は、
構造的に海爾集団から独立しており、
グループの優良資産を
直接その傘下に収めているといいます。
中国の法律では、企業内部の持ち株会が
独立の法人格を得ることはできませんが、
海爾集団の持ち株会は、
「実態として、そうなっている」
と指摘します。
持ち株会が90%以上の出資比率をもつ
海爾投資という会社が、
この海爾中建への資産注入において
暗躍しているとも指摘。
海爾中建への資産注入が
2005年に延期されることが発表されたのが7月末。
このあたりから、
郎氏と海爾集団の口舌戦が始まりました。
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