第117回
「本当のことを暴露しすぎ」75%が逆恨みを心配
正直に言えば、現在の中国において、
不正を挙げたらきりがありません。
前回ご紹介した国家電力公司の国有資産流出や
同社幹部によるどんちゃん騒ぎ「会議」については、
実は氷山の一角に過ぎないかもしれません。
国家電力公司のほか、
中国工商銀行や中国交通銀行でも
不正融資や不正資金の存在が
確認、暴露されています。
さらに驚かせたのは、
国家体育総局が中国オリンピック委員会の
プール資金を不正に使用したとされる
問題が発覚したことです。
企業ばかりでなく、
政府機関までも不正が発覚したのです。
これを受けて、企業ばかりでなく、
党や政府機関の会計監査の重要性が強く認識され、
党や国の中枢機関まで、
監査の対象に組み込まれる方針が発表されています。
いわば「聖域」なき監査の徹底です。
こうした一連の不正を暴露したのは、
国家審計署(会計審査署)の
李金華・審計長という方です。
今年6月、李金華・審計長が
日本の国会にあたる会議で行なった
国や企業を対象とした監査報告によるものです。
あまりにも激しく、
有名企業や五輪にも絡んだような内容の
不正暴露だったため、
「6月の不正暴露の嵐」などとも呼ばれました。
この報告をもとに、
各メディアが盛んにこの話題を取り上げました。
ある調査によれば、
李金華・審計長の勇気ある行動は、
多くの中国の一般消費者に賞賛されていますが、
一方で、実に75%の人が
「あまりにも(本当のことを)暴露しすぎたので、
暴露された側の逆恨みにあい、
李金華・審計長の今後の政治家生命が心配」
と回答しています。
「拍手喝さいだが、
あまりにもわが身を振り返らない危険な行為じゃないか」
というのが多くの中国の消費者の見方のようです。
逆に言えば、今までこうした場合、
保身を考えて、表沙汰にしてこなかったが、
実際、中国の経済は不正の嵐だったのだろうと、
中国の消費者が考えていることもいえます。
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