| 第96回華潤水泥:厳しいセメント業界も豊富な資金力で急拡大
 華潤集団のセメント部門の上場企業である華潤水泥(0712)は、
 深セン市によるセメント工場閉鎖命令で、
 48工場のうち、
 唯一その命令を免れた工場を保有しています。
 華潤集団の潤沢な資金のもとで、最新式のもの設備を導入していたことが、
 閉鎖命令をかわすことのできた
 要因だったと考えられています。
 これをはじめ、華潤水泥ではM&A(合併・買収)を加速、
 自身の生産能力拡大に努めています。
 中小メーカーが乱立して、
 市場は混戦していますが、
 基本的にはニーズは堅調であり、
 こうした拡大路線自体は
 正しい選択といえるでしょう。
 また、セメントは、国の経済・投資過熱抑制策、
 あるいは電力消費量の多い産業として
 認定されやすい産業でもありますので、
 いろいろな引き締めが、
 いつ行なわれてもおかしくないともいえます。
 事実、セメントを含めた複数産業の工場などに対して、
 差別的な電力価格を実施する方向が
 固められたなどとも報じられています。
 当然、こうした措置がコスト増などを引き起こし、
 経営に影響を与えることは十分に考えられます。
 こうした政策変動に対応するためには、自他ともに認める、
 中国トップクラスのセメントメーカーになること、
 あるいは急な政策変動に対しても対応できる、
 政府との強いパイプが必要になります。
 華潤水泥は、華潤集団を通じて
 そうした条件に合致したメーカーであるといえます。
 しかし、中国の03年通年のセメント生産量は8億6200万トンに達しています。
 一方で、華潤水泥の生産量は
 まだわずかに330万トン程度に過ぎません。
 生産量ベースでのシェアはわずかに0.38%です。
 中国最大とされるセメントメーカーの
 安徽海螺(0914)の年産能力は、
 現状でも3000万トンとされるので、
 現在までに華潤水泥は
 実にその10分の1程度です。
 同社では、今後3年間で生産規模を現在の3倍にまで引き上げる計画を発表しています。
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